濃いキャラクターが続々登場 (C)2015 Jafar Panahi Productions

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 イラン政府によって2010年から“20年間の映画製作禁止令”を受けたジャファル・パナヒ監督が、タクシー運転手に扮装して製作した映画「人生タクシー」の新たな本編映像が、公開された。タクシーに風変わりな老女2人組が乗り込んでくるシーンを切り取っている。

 第65回ベルリン映画祭金熊賞を受賞した本作は、パナヒ監督がタクシー運転手に扮してテヘラン市街を回り、さまざまな乗客と本音を語りあうさまを車載カメラで映し出している。死刑制度について議論する路上強盗と教師、交通事故にあった夫婦、映画監督志望の青年や海賊版DVDで生計を立てる男など、個性的な乗客が次々と登場する。

 なぜか金魚鉢を抱えて乗り込んできた老女たちは、「(目的地の)泉までどのくらい?」「正午までに着きますか」「道が混んでいても着くわよね?」「きっとじゃ駄目。絶対に着くのよ」となにやら急いでいる様子。興味をそそられたパナヒ監督は「なぜ午後じゃ駄目なんですか?」と深刻な表情の2人に尋ねるが、「遊びじゃないのよ。金魚を返すの」「間に合わなければ私たちの命に関わるの」と激しい剣幕で返されてしまう。切迫した状況がうかがえるが、パナヒ監督が急ブレーキをかけた瞬間に金魚鉢が割れ、車内はパニックに。3人は金魚を救おうと奔走することになる。なぜ老女たちはこれほどまでに金魚に固執しているのか、目的は何なのか、謎が謎を呼ぶシーンであると同時に、パナヒ監督のユーモラスな振る舞いが印象的な場面となる。

 「人生タクシー」は、4月15日から東京・新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。