100万ドル(=およそ1億円)は莫大な金額に聞こえますが、リタイアするとなると、思っているほど大きな金額ではないかもしれません。Wall Street Journalは、このような物の見方を「富の幻想」と呼んでいます。いったいどんな意味なのでしょうか。

100万ドルと聞くと、月に5000ドル(およそ50万円)よりはるかに大きい金額に聞こえます。リタイアしたとき100万ドル持っているのと、毎月5000ドルもらうのとどちらがいいか聞かれると、ほとんどの人は100万ドルの方がいいと答えるでしょう。

でも、リタイアに備えるお金という意味では、どちらの金額もほぼ同じなのです。Wall Street Journalはこれを次のように解説しています

最初に断っておきますは、この2つの金額は現在の年金金額設定に基づくと、ほぼ同額になります(65歳から年金が支給されるとして、大雑把に計算すると、月額年金支払額5000ドルは、100万ドルの200分の1になります)。そして、100万ドル持っているのと月に5000ドル年金を受け取ることは、ほぼ同額になるにも関わらず、人によってこの2つの数字の受け止め方は大きく異なります。

銀行口座に100万ドルの貯金があると、毎月5000ドル入ってくるよりはるかにお金があると感じる人は富の幻想に悩みがちです。一見、大きい額のお金があることで間違った安心感を抱くからです。そういう人は銀行口座に100万ドルあると毎月5000ドル入ってくる場合よりずっとお金があるかのように振る舞ってしまいます。

それのどこが問題なのでしょうか。富の幻想があると間違った安心感があるせいで、リタイアに備えて十分に貯金をしなくなる人がいることです。もちろん、そうは言っても100万ドルはたいていの人の貯金額より多いのですが。

貯金の遅れを取り戻そうとしている人に不安を与えるつもりはありません。大切なのは、「リタイアに備えて貯金することは大事である」「数字を理解することはその助けになる」という点です。別の言い方をすると、一時的にあるお金のことだけ考えていてはいけないということです。

リタイアメントの計画を詳しく考え始めたら(早ければ早いほど良いです)、大局的な物の見方をしましょう。月々の支出はいくらになるか、何年ぐらい預金を引き出すつもりか、毎月いくら入ってくる計画なのか、それは全て現在の貯蓄率にかかっています。


Kristin Wong(原文/訳:春野ユリ)
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