中国のメディアをめぐる独特な文化といえば、情報統制と合わせて「抗日ドラマ」の存在を指摘できるだろう。現在の抗日ドラマは共産党の正当性を主張しつつ、旧日本軍の極悪非道ぶりを描く内容となっている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国のメディアをめぐる独特な文化といえば、情報統制と合わせて「抗日ドラマ」の存在を指摘できるだろう。現在の抗日ドラマは共産党の正当性を主張しつつ、旧日本軍の極悪非道ぶりを描く内容となっている。

 中国国民に史実を伝えつつ、愛国心を掻き立てるといった趣旨であればまだしも、現在の抗日ドラマは旧日本軍を過度に悪者にしているばかりか、その内容は年々エスカレートしており、中国共産党機関紙である人民日報も抗日ドラマは「破天荒すぎる」と批判したほどだ。

 また、中国のネット上にも「抗日ドラマにはリアリティが欠けている」、「史実を扱った作品ではない」と指摘する声が存在し、「破天荒すぎる」抗日ドラマは現在、「抗日神劇」とも揶揄(やゆ)されているが、中国メディアの一点資訊は3月29日、「日本兵を素手で切り裂くような抗日ドラマが氾濫している今、その内容を簡単に信じてはいけない」と論じる記事を掲載した。

 日本の国旗は日章旗と呼ばれ、旧日本軍でも海軍と陸軍では掲げる旗に違いがあったが、記事は抗日ドラマでは「旧日本軍の旗として、海軍と陸軍の旗が混同されて使用されている」と指摘、描写にも間違いが数多くあるうえ、どこまで史実に基づいているのか疑問であるとの見方を示した。

 抗日ドラマは中国政府にとっては「旧日本軍を退けた」という中国共産党の正当性を主張するための重要な存在であると言えるが、記事の主張からは、抗日ドラマが戦争をネタにした陳腐なビジネスと化していることに違和感を感じる中国人は決して少なくないことが見て取れる。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)