北朝鮮でまたもや建設現場の死亡事故が多発している。金正恩党委員長が進める両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)郡での開発工事でのことだ。

北朝鮮当局はこの一帯を、故金日成主席が革命活動を行い、故金正日総書記が生まれた聖地としているが、最近に入って金正恩氏の生まれ故郷でもあるとの宣伝を始めた。

金正恩氏自身も昨年11月に現地視察を行い、「なんとしても工事を3〜4年に終えなければならない」と指示を出し、金日成-金正日主義青年同盟所属の突撃隊(建設部隊)「216建設師団」の人員を投入しているが、無理な工事で事故が頻発しているというのだ。

北朝鮮の建設現場では、むかしから大規模事故が多発している。その原因の多くは、重要な記念日や大きな政治的行事の場で成果として発表するために、ハコモノ作りの工期を無理やり短縮する突貫工事「速度戦」にある。

(参考記事:北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

女性3人が相次ぎ…

今回も例も、構図はまったく同じだ。

地元の情報筋によると、事故が起きたのは先月16日のことだ。三池淵郡の中興(チュンフン)労働者区で、丸太を積んでいたトラックがアイスバーンで横転し、丸太の下敷きになった突撃隊員(建設労働者)7人と突撃隊幹部、ドライバーの計9人が死亡した。

先月2日にも、胞胎(ポテ)労働者区で同様の事故が発生し、突撃隊員20数人が死亡している。また先月19日には、掘削作業中だった突撃隊員7人が土砂崩れで死亡しているほか、1〜2人の死亡事故は日常茶飯事だという。

情報筋は「白頭山観光鉄道が完成間近だから、完成してからそれで資材を運べばいいのに、上から『早く工事を進めろ』と言われ、無理にトラックで運ぼうとしたことが事故の原因」と説明した。

先月15日の朝鮮中央テレビの天気予報によると、建設現場近くの恵山(ヘサン)の翌16日の最低気温は氷点下14度、最高気温は6度だ。昼間に溶けた雪が、夜に凍結し、道路は非常に滑りやすくなっていた。

一方、突撃隊員による性犯罪も深刻だ。現地を訪れた別の情報筋によると、地元の女性が突撃隊員に襲われる事件が半月で3件も起き、被害女性1人が亡くなった。

また、十分な配給を得られていないため、民家から布団や毛布、薪を盗む事件が後を絶たず、地元住民は216建設師団を馬賊を呼び、恐れている。

さらに当局は全国各地の住民に対して、三池淵の建設現場に送るキムチ、味噌、手袋を供出するよう命令したと、両江道のデイリーNK内部情報筋が伝えており、工事の影響は全国に広がりつつある。