(写真=JTBCニュースルーム)

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世界的な話題になっている偽ニュース(fake news)。アメリカでは大統領選挙に影響も与えたとの分析もあり、来る5月9日に大統領選挙を控えている韓国にとっては、他人事とはいえないだろう。

そんななか韓国言論振興財団が3月29日、興味深い報告書を発表した。

20〜50代の成人1084人を対象に行われた調査結果を反映した「一般国民の偽ニュースに関する認識」だ。

日本とは違う偽ニュース事情

同報告書によると、調査対象者全体の76%が「ニュースを見るときに偽ニュースではないかと疑う」と答えたという。

また、今年に入って32.3%が偽ニュースを見た経験があると応えており、特に20代が多かった。

では、偽ニュースに触れた人たちが使っていた媒体は何か。やはり、インターネットが76.3%と圧倒的多数を占めた。一方のテレビや新聞などの「大衆媒体」は9.1%に過ぎなかった。

ネットで偽ユースに触れた人たちは、カカオトークやラインなどのメッセンジャー(39.7%)、フェイスブックやツイッターなど(27.7%)を通じて、偽ニュースに接したケースが多かったという。

かくいう筆者も韓国の“偽ニュース”に接する機会は多い。韓国には“チラシ”と呼ばれる怪文書がSNSなどで無作為に拡散させるのだ。

ただ、それを言葉通り、「チラシ」と受け取ると痛い目に遭う。チラシが原因で人気俳優や女優が精神的に追い詰められて、活動休止に追い込まれた例も少なくないのだ。

ちなみに今回の調査では、とある実験も行われている。

対象者に6本のニュースを見せ、どれが本当のニュースで、どれが偽ニュースかを当ててもらうというものだ。6本すべての真偽を正確に見抜いた人は、全体のわずか1.8%しかいなかったという。

以前、世界保健機関(WHO)が発表した「犯罪類型別の国の順位」で、詐欺犯罪において1位を記録したことのある韓国は、「世界一の詐欺大国」などと揶揄されることもある。

単純に「騙す人」が多のかと考えていたが、この結果を見ると「騙される人」も少なくないのかもしれない。

また、同じ記事を見せてもニュースサイトに載っている記事と、メッセンジャーで送った記事では信頼度が違うこともわかった。

メッセンジャーで送った記事は信頼度が落ちる結果になっている。

韓国の“国民的アプリ”であるカカオトークから離れる人が増えているという話もあるが、遠因はこんなところにもあるのかもしれない。

“規制”には積極的な韓国の意識

ネット上にはソース不明のニュースが多数存在し、少なくない混乱や誤解を生んでいるのは事実だろう。しかし偽ニュースに対して、規制や処罰を行うとなると抵抗感も出てくる。

しかし韓国では、規制も辞さないといった様相だ。

「偽ニュースは名誉毀損など人格権を侵害するため規制されるべき」という設問に対しては、同意(強く同意する、少し同意する)が88.8%と大多数を占めた。また、「偽ニュースは政治的イシューを判断する際に混乱を与えるため規制するべき」にも、同意が87.8%に上った。

「偽ニュースを処罰すると言論の自由が萎縮するため規制しないほうがいい」という設問に対して、同意するは17.9%しかいなかった。つまり、規制に積極的なのだ。

実際に、韓国は世論が強い力を持つ傾向があるかもしれない。それは、いわゆる従軍慰安婦を「売春婦」と主張した大学教授に対する反応を見てもわかるだろう。

(関連記事:韓国で慰安婦を「売春婦」と主張したらどうなるのか。とある女性教授の“末路”とは

いずれにせよ、韓国では多くの人が偽ニュースに対して強い抵抗感を持っていることは間違いない。ニュースの真偽を正確に見抜いた人が1.8%しかいないなかで、規制に同意する人が多かったのは不安だが…。

(文=慎 武宏)