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by Susanne Nilsson

2017年3月に発表された世界幸福度報告2017年版で、ノルウェーが1位、デンマークが2位、スウェーデンが10位と、スカンジナビア3国がいずれもトップ10にランクインしました。その2位、デンマークは「税金は高い」「冬は暗くて陰鬱な気候」「他の国に比べて戦争で負けた経験が多い」などネガティブにも思えるイメージもある国ですが、国民が幸福だと感じているのは「ヤンテの掟(Jante Law)」の存在が少なからず影響しているのではないかと考えられています。

To Be Average Is to Be Happy: A Lesson from the Danes | World of Psychology

https://psychcentral.com/blog/archives/2016/09/27/to-be-average-is-to-be-happy-a-lesson-from-the-danes/



この「ヤンテの掟」は作家のアクセル・サンデムーセが1933年に書いた小説「A Fugitive Crosses His Tracks」の中に出てくる10カ条のルールです。内容はすべて「自分」に向ける形で以下のようなものとなっています。

1:あなたが特別な存在だと思ってはならない

2:あなたが人と同様に有能だと思ってはならない

3:あなたが人より賢いと思ってはならない

4:あなたが人より優れているとうぬぼれてはならない

5:あなたが人より物知りだと思ってはならない

6:あなたが人より重要だと思ってはならない

7:あなたが人より何かに秀でていると思ってはならない

8:あなたは人を笑ってはならない

9:あなたが誰かに助けてもらえると思ってはならない

10:あなたが人に何かを教えられると思ってはならない

「無知であることを知る」というような次元を通り越して、まるで映画「フルメタル・ジャケット」に登場するハートマン軍曹に怒られているかのような気分になる内容です。

World of Psycologyによれば、このように「あなたは平均よりも低いところにいる」と言われることで、人は「せめて平均ぐらいには到達したい」と考えて、そこを目指すようになり、ごく平均的な生活を手に入れても満足できるのだそうです。つまり、期待以上のことがあれば幸福だと感じるので、期待するラインが低ければ幸福を感じやすくなる、という考え方です。

ただし「ヤンテの掟」の受け取り方が正反対であるという考え方も存在します。「掟」は10カ条に分かれていますが、その指す内容はほぼ同じで、「あなた(=これを読んでいる自分)」の特別さ・優秀性を否定していますが、これが「小説の作者はデンマーク国民の傾向として、成功した人に対してこんな風に考えてしまう風潮があるよね、と隠喩している」という指摘です。

和Station: ヤンテの掟 Jante Law

http://nagomistation.blogspot.jp/2011/08/jante-law.html



指摘を行ったブログ「和Station」によれば、現代のデンマークの人からすれば古い価値観だと映っているのだそうです。しかし、和Stationの筆者も当初は「自分への戒めとして謙虚な態度を表して」いるものと受け取って、いいものだと感じていたとのこと。作者の意図とは違うかもしれませんが、自戒の10カ条として受け取ることで励みになるという人はいるかもしれません。