(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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UAE戦、タイ戦で日本は安定した戦いを見せました。そう言うと、少し驚く人もいるかもしれません。タイ戦は、UAE戦での消耗が影響したのでしょうが、相手にPKを与えるなどピンチもありました。それなのに、なぜ安定していたと考えるのか。

僕が注目したのは選手の構成です。実は、一昔前ならタイ戦は絶望的だったかもしれません。絶好調の大迫勇也が欠場、本田圭佑と香川真司は本調子ではなく、キャプテンの長谷部誠まで欠いていたのです。ブラジルワールドカップのころ、こんな状況だったらみんな頭を抱えるだけだったでしょう。

ところが、岡崎慎司がヘディングシュートを決めたり、久保裕也が1ゴール2アシストと右サイドで輝いたり、あるいは長谷部の代わりを今野泰幸や酒井高徳が務めたりと、主軸の誰かがいなくても、代わりを務められる選手が出てきたのです。

香川のポジションにも清武弘嗣や乾貴士がいます。各ポジションに2人、3人が育ってきているのです。この点は日本が一番成長したところでしょう。岡崎、本田、香川がバックアップに回るようになっても、チームとしてレベルが落ちないのが成長を物語っています。

ところがそんな中で、1人だけ代えの効かない選手がいます。もし今回、彼が欠場していたらどうなったのか想像するとゾッとさせられる選手――それは山口蛍です。山口の危険察知能力、スペースを埋める判断力、そして安定感があったからこそ、相手の反撃を最少限に抑えることができました。

点を取ったりスルーパスを通したりという派手なプレーはありません。ですが、日本の中盤を落ち着かせているのは山口です。その山口のバックアップは誰で、どうやって経験を積ませていくのか。

3次予選のグループ首位に立っているとは言え、今後アウェイのイラク戦、ホームのオーストラリア戦、そしてアウェイのサウジアラビア戦と続くとあっては、まだまだ気を抜けません。今回出てきた山口の代役がいないという課題を、いかに解決するか、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の手腕が問われます。