逆転弾を決めた仙頭。勝利にはつながらなかったが、デビューイヤーで早くもチームの主軸となる活躍ぶりだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 J2第6節。2連敗中の千葉と3連敗中の京都が相まみえるも、結果は2-2のドロー。ともに連敗こそ免れたものの勝利を掴めず、互いに悔しさが残る幕引きとなった。
 
 ただ、内容的には千葉のほうがポジティブにこの試合を捉えられるかもしれない。1点ビハインドで迎えた91分に前線にポジションを移していた近藤直也が、柏時代のチームメイトである菅野孝憲を一歩も動かさない絶妙なヘディングシュートを沈めたことで、勝点1をもぎ取った形になったのだから。
 
 逆に、終了間際の失点により手がかかっていた勝点3を逃した京都にとっては痛恨だった。実際、近藤にゴールを許した瞬間、敗北が決まったかのように多くの選手がピッチにうなだれた。
 
 ショックの度合いは非常に大きく、それはサポーターとて同じ。しかし、試合後にゴール裏に挨拶へ行く選手たちに対していわゆるブーイングが送られることはなかった。むしろ、勝利まであと一歩と迫った選手たちを讃え、次の試合に向けて大きく背中を押すような温かい声援が投げかけられていたのだ。
 
 そこまでサポーターを前向きにさせた要因としてふたつが挙げられるだろう。今季初となる複数得点を挙げられたというのはあるだろうが、それを決めた”選手“が大きいのではないかと思われる。
 
小屋松知哉と仙頭啓矢――。
 
この日の2ゴールを挙げた今季の新戦力である彼らはホームタウンである京都の名門校・京都橘高校の出身選手だ。第91回全国高校サッカー選手権大会で準優勝した同校の中心選手であり、共に5得点を挙げて大会得点王を分かち合った2人でもある。
 
 1学年上の仙頭は卒業後に東洋大へ進学し、小屋松は高卒で名古屋へと進んだ。互いに異なる道を歩んだが、今季より4年ぶりに同じユニホームに袖を通してともに戦うことになった。そしてこの日、2013年1月12日、国立競技場で行なわれた桐光学園との選手権準決勝以来となるアベック弾を記録したのである。
 
 この日の京都はすでに千葉の代名詞となりつつある“ハイライン”の裏を徹底的に狙っていった。今季の京都は後方から丁寧にショートパスで繋いでいくスタイルに挑戦しているが、「無理に繋ぐよりも裏のほうが効果的だったので、そこはチームのやり方としてはありだった」(小屋松)。積極的に相手の背後を取りに行く中で小屋松は持ち前の縦への推進力を出し、攻から守への切り替えの部分でも存在感を発揮。24分に狙い通りの形で小屋松が京都移籍後初ゴールを記録。貴重な同点弾を沈めた。
 
 そして、仙頭である。中盤の攻撃的な位置、2列目を主戦場としており決して得意ではないボランチの位置で前半は判断の迷いや危ないロストが散見された。しかし、徐々に前向きなプレーを増やしていくと、60分、ボックス内の大野からうけたバックパスにダイレクトで右足を合わせ、芸術的なループシュートでネットを揺らす。
 
「GKが結構出ていたのは見えていましたし、前半からミドルシュートの意識は持っていたんですけど、それを狙い通りの場所に決められてよかったなと思います。(大野の)パスは僕もびっくりするくらい強かったんですけど、逆に当てるだけでその分威力がつくというか。上手いこと自分の足でコントロールできた」(仙頭)
 
 ともに相手のウィークポイントを序盤から見定め、そこを突いて結果を残した。新加入であり京都に縁の深い両選手がこのように結果を残したことを考えれば、勝点3を逃した事実はショッキングだったにしろ、チームに力を与えることは間違いない。そして、それは彼らも自覚している。
 
「やっぱり若手が中心になってやっていくことが、強いチームの要素のひとつでもあると思います。(小屋松)知哉とは高校時代も一緒にやってきて、自分たちが結果を残せば京都も盛り上がってくる。僕たちが中心となってやっていくことが、チームを盛り上げることにつながるのかなと思います」
 
 欲を言えば、後半に投入された小屋松の3つ下の後輩となる岩崎悠人が決められれば、京都橘3人衆の揃い踏みとして完璧な流れだった。ただ、彼ら3人が揃って結果を出すことも決して遠い未来の話ではないだろう。それが成された時、京都はさらなる盛り上がりを見せるに違いない。
 
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)