グランフロント大阪

写真拡大

 観光庁が3月に発表した2016年の宿泊旅行統計調査(速報値)で、興味深い結果が出た。延べ宿泊者数(全体)は4億9418万人泊で前年比マイナス2.0%。このうち日本人は4億2330万人泊で、同マイナス3.5%だった。一方、外国人は7088万人泊と同8.0%のプラスで、調査開始以来、最高となった。

 外国人の延べ宿泊者数は12年の2630万人泊から4年間で2.7倍に急増したことになる。全国いたるところで外国人観光客を見かけるのも納得できる。

 では、彼らはいったいどこに泊まっているのだろうか。トップ5は次の通りだ。

1.東京都 1805万8900人
2.大阪府 1025万5330人
3.北海道 692万1170人
4.京都府 482万3750人
5.沖縄県 448万2880人

 逆に、宿泊者数が少ない県は下記のようになっている。

1.福井県 5万3830人
2.島根県 5万7980人
3.秋田県 6万2810人
4.徳島県 6万8390人
5.高知県7万3240人

 こうしてみると、インバウンド(訪日外国人観光客)格差は歴然としている。宿泊者の絶対数は3大都市圏(東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都、兵庫)と人気観光地が圧倒しているが、最近は行動パターンに変化がみられる。3大都市圏の伸びが前年比プラス4.8%なのに、地方部は同プラス13.2%と3倍近い伸びなのだ。前年比で大きく伸びた県は香川県がプラス69.5%(延べ宿泊者数35万6730人)、岡山県はプラス63.2%(同27万8300人)、福島県がプラス41.3%(同7万9720人)などとなっている。延べ宿泊者数では46位の島根県も前年比では35.0%増と大健闘している。旅行ジャーナリストは、次のように分析する。

「初来日で『東京―箱根・富士山―京都―大阪』のゴールデンルートを観光した人たちは、2回目以降はより日本らしさを求めて地方に足を延ばす傾向がみられます。体験型の観光も増えています。観光庁がゴールデンルート以外のコースを設定していますし、地方自治体の来日客の誘致の取り組みも盛んです。こうした努力が地方の大幅増というかたちになって表れたのではないでしょうか」
 
●大阪のシティホテルはすべての月で稼働率が80%超え

 この調査では、全国の都道府県別に宿泊施設ごとの客室稼働率を調べている。注目は大阪府の稼働率の高さである。全国平均の稼働率が60%であるのに対し、大阪府は84.1%でトップ。2位は東京都の79.4%、3位が京都府と福岡県の70.9%で、80%越えは大阪府だけだ。

 大阪府の稼働率を施設別で見ると旅館は47.7%(3位)と低いものの、リゾートホテル89.3%(1位)、ビジネスホテル85.4%(1位)、シティホテル87.9%(1位)、簡易宿所64.9%(1位)と、軒並みトップだ。シティホテルは年間を通じてすべての月で80%を超えた。

 大阪府の年間の延べ宿泊者数は3141万8630人で東京都、北海道に次いで3位。外国人の延べ宿泊者数(約1025万人)の伸びが同14.4%増と東京都(同2.8%増)の5倍にも達している。

「昨年、関西国際空港(関空)の利用客数が初めて2500万人の大台を超えました。LCC(格安航空会社)を中心に、アジアで路線・便数が増加し利用客数の増加につながりました。関空に到着した旅行客の最初の宿泊地が大阪府になるため、稼働率を押し上げているとみられます」(前出の旅行ジャーナリスト)

 大阪に出張するビジネスパーソンから「最近、大阪のホテルが取りにくくなった」という声をよく聞くが、稼働率がこれだけ高ければ当然だろう。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)をはじめとする観光・娯楽スポットを訪れる一般旅行客も多い。

 1970年の大阪万博をピークに大阪の“地盤沈下”が叫ばれて久しい。だが、この数字を見ると、大阪は復権したといえるのではないか。

 3月21日に発表された17年の全国の公示地価で、商業地の上昇率トップ5を大阪が独占した。トップは大阪市中央区のフグ料理店「づぼらや」道頓堀店で、地価は41.3%上昇した。「ミナミ」と呼ばれる大阪市中央区の繁華街にあり、フグの看板を前にして写真を撮る外国人客が急増している。大阪の商業地の地価上昇は、訪日客の増加が後押ししたといっていい。

 こうした動きを大阪の完全復活、関西全体の再浮上につなげることができるかどうかが大きなカギとなる。
(文=編集部)