中国メディアは日本と中国の民間人2人が17年のノーベル平和賞に推薦されたと伝えた。第2次世界大戦中の中国人被害者の救済に取り組んできたことが推薦理由だ。写真は中国民間対日損害賠償訴訟連合会の童増(トン・ゼン)会長。

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第2次世界大戦中の中国人被害者の救済に取り組んできた日本と中国の民間人2人が、2017年のノーベル平和賞に推薦されたと中国メディアが報じた。この中では「平和賞に推薦されることを通じ、全世界の人が日本による対中侵略戦争を理解し、正視することだろう」とも強調している。

中国網によると、2人は中国人戦争被害者賠償請求弁護団幹事長の小野寺利孝氏と中国民間対日損害賠償訴訟連合会会長の童増氏。2人は元四川大学副学長で米インディアナ州立大学名誉教授の陳愛民氏が今年1月、ノーベル平和賞委員会に正式に推薦した。童増氏は15年から3年連続でノーベル平和賞に推薦されている。これまでの2年は個人だったが、今年は初めて小野寺氏との連名になったという。

推薦理由としては「民間の力を通じて20年以上、第2次世界大戦の中国人被害者の合法的権利を守り、拡大し続け、日本政府と加害企業による第2次世界大戦の遺留問題の解決を促進してきたこと」を指摘。その具体例として昨年6月に北京で和解した「三菱マテリアル訴訟」を挙げた。

この訴訟では戦時中、日本に強制連行され、過酷な労働を強いられたとして、中国人の元労働者や遺族が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手に損害賠償と謝罪を求めていた。日本で起こされた一連の中国人強制連行訴訟は、いずれも原告側敗訴で確定。07年4月、最高裁が「戦争中に生じた中国国民の日本に対する請求権は日中共同声明によって放棄された」との判断を示したことにより、事実上、終止符が打たれた。

その後、中国人側は自国でも提訴。和解に向けた交渉を続けた結果、▽三菱マテリアルは歴史的責任を認めて謝罪をする▽1人当たり約170万円の和解金を支払う▽事業所の跡地に記念碑を建て追悼行事を行う―などで合意した。中国人強制連行をめぐり企業側と被害者が和解文書を取り交わしたのは初めてで、民間レベルでの歴史問題の解決方法を示した形だった。

小野寺氏は和解協議にも関与。中国網は「常に日本の右翼から脅迫され続けてきたが、動じることはなかった。自分の家を抵当に入れてまで借金をして中国人被害者を来日させるなど訴訟を支持してきた」と称賛している。童増氏は「中国青年報・中国青年報オンライン」の取材に対し、今後も「訴訟を中心に活動する」とした上で、「今年は南京大虐殺80周年だ。我々は今後も日本政府に謝罪を要求していく。同時に、訴訟団に加わる人が増えるにしたがって、いかに国際的に我々の権益を高めていくかを考える必要がある」と語った。

ノーベル平和賞は10年に民主化運動などに取り組んできた作家の劉暁波氏が中国人として初めて受賞した。これに対し、中国政府は「内政干渉は許さない」などと反発。国家政権転覆扇動罪に問われた劉氏は09年12月、懲役11年を宣告され、服役中だ。(編集/日向)