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地球を覆う地殻と、そのすぐ下にある岩盤層からなるリソスフェアが帯びている地磁気だけを観測したデータをもとにしたHDアニメーションがESA(欧州宇宙機関)によって公開されました。最新の人工衛星を用いて3年がかりで得られた、観測が極めて難しいリソスフェアだけの地磁気データからは、地球の成り立ちやこれまでの歴史、そして大陸が移動するプレートテクトニクスを知るうえで貴重な証拠を見ることができるそうです。

Unravelling Earth’s magnetic field / Swarm / Observing the Earth / Our Activities / ESA

http://www.esa.int/Our_Activities/Observing_the_Earth/Swarm/Unravelling_Earth_s_magnetic_field

High-res animation reveals Earth's magnetic field | Daily Mail Online

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-4339722/Stunning-high-res-animation-reveals-Earth-s-magnetic-field.html

地球の地磁気は、その大部分が地下3000kmにある地球の外核の働きによって生みだされています。溶けた鉄とニッケルからなると考えられる外核には渦電流が流れており、これによって生みだされた強い地磁気が地球全体を巨大な1つの磁石にしています。その磁力線は大きく宇宙空間にも達して地球磁気圏を構成し、太陽から到達する太陽風による作用を防いでいると考えられています。



By Akaase

これとは別に、地表を構成する地殻とマントル最上部の固い岩盤を併せた部分「リソスフェア」も地磁気を持っています。この地磁気は地球の噴火活動やプレートテクトニクスの働きなどによって生まれたものであり、地球の歴史を知る上で貴重なデータとなるのですが、地球全体の地磁気のわずか6%しかないリソスフェアの地磁気データは観測が非常に難しいため、これまで有益なデータは存在していなかったとのこと。

そんなリソスフェア地磁気の観測に成功したのが、ヨーロッパ各国が共同で設立した欧州宇宙機関(ESA)です。ESAは、2013年に打ち上げられた地磁気観測衛星「SWARM」と、ドイツがアメリカと共同で2000年に打ち上げていた地球重力測定衛星「CHAMP」を用いて、精細なデータの取得に成功しています。

ESAが公開したのが以下のムービー。

大西洋を中心にリソスフェア地磁気を表示させたところ。磁力の強さは色によって示されており、色が青いほどマイナス(S極)、赤いほどプラス(N極)であることを示しています。



アフリカ大陸の南端を中心にみると、通常の地図だとこんな感じですが……



リソスフェア地磁気で見てみるとこんな感じ。実際の地形との相関はほとんどなく、独自の縞模様を見てとることができます。この模様は、数十万年〜数百万年単位で起こっている「地磁気反転」によって生まれたものだと考えられているとのこと。



ところどころに、突如として地磁気が強い場所がいくつか確認されています。中央アフリカ共和国の首都・バンギの近くには極めて磁力の高い特異点があるとのこと。その起源はまだ不明ですが、過去に隕石が衝突した時に強い磁力を持つ物体がこの周辺に散らばったためとも考えられています。



SWARMは3基の同型の衛星が連携して観測を行う人工衛星で、地球上空を取り巻く超音速のプラズマジェットの存在や、地球の内側の強いジェット噴流の存在を解き明かしてきました。



SWARMが観測するイメージはこんな感じ。3基のうち1基はほかの2基と違う高度で地球を周回しながら、高精度な地磁気センサーでさまざまな観測を行っています。

ESAが作成したHDアニメーションは、以下のページから1920×1080ピクセルのオリジナル版をダウンロードすることが可能です。

Space in Videos - 2017 - 03 - Lithospheric magnetic field