「緊張はまったくしない」という強心臓で、決勝点にも絡んだルーキー安部。物怖じしないプレーで上々のJリーグデビューを飾った。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ5節]大宮 0-1 鹿島/4月1日/NACK

 これまで何人もの代表戦士を育ててきた鈴木満常務取締役強化部長は、活きの良い18歳のアタッカーのパフォーマンスに一定の評価を与えた。
 
「あいつは小気味良いプレーをするというか、思い切りが良いし、身体も切れている。少しずつ使って、慣らしていけば、戦力になってくるんじゃないかと期待していますよ」
 
 まだ0-0の状態だった74分、ペドロ・ジュニオールとの交代でピッチに送り出した石井正忠監督も、今後のさらなる活躍に期待を寄せる。
 
「彼は動き出しが非常に良いですし、ボールも収まって、個人で仕掛けられる選手なので、そこを期待して入れました。僕もそうですけど、彼自身も納得するプレーはできなかったんじゃないかな、と。でも、能力は高いので、これをきっかけにチームの力になってもらいたいなと思います」
 
 今季、高卒ルーキーとして鹿島に加入した安部裕葵は、J1・5節の大宮戦で途中出場から待望のJリーグデビューを飾った。
 
 ファーストプレーでは、山本脩斗のクロスを柔らかなタッチで土居聖真に落として決定機を演出。さらに、その後の土居の決勝点にも、安部は間接的に絡んでみせる。
 
 大宮の深い位置からの縦パスに足を伸ばすと、「よく見ないと多分、分からないと思います。ちょっとしか(ボールの軌道が)変わっていないので」と本人は振り返るが、相手のビルドアップに狂いを生じさせたのは事実。そのルーズボールを安部の後方にいたレオ・シルバが収め、鈴木優磨へとつなぎ、最後は土居が仕留めた。
 
「ああいう小さいことが、ゴールにつながると、改めて実感しました」
 
 決定的な仕事に絡めただけに、上々のデビュー戦と言ってもいいだろう。「自分は緊張とかまったくしないんで」と、プレッシャーは微塵もなかったという。
 
 記念すべき一歩を刻んだゲームで得た自信と課題について聞けば、まず自信については次のように述べている。
 
「自信は……もう、あるので。このチームでやれて、試合に出ている時点で、自信はついています。正直、練習のほうが試合より難しいと思っているくらい。練習だと、植田(直通)くんや(昌子)源くんを相手にするので」
 
 日々、日本代表のCBと対峙して己を鍛えていることで、ピッチに立てば“やれる”という感覚は十分に備えているということだ。
 
 一方、課題についてはこう答えている。
 
「(相手の)ディフェンスラインを下げろ、ということを言われていたんですけど、時と場合によっては、引かなければいけないケースもある。そこでセカンドボールを拾えなかったりもして、そういうのはセンスなのか分からないですけど、大事な部分だと思いました」
 
 実戦を通じて、気づくこともあるのだろう。今後はその機会をどれだけ増やし、成長の糧にできるか。スタートラインに立った安部の今後の飛躍が楽しみだ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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