作品を解説するアラン・ギロディ監督

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 アンスティチュ・フランセ東京で開催中の「第20回カイエ・デュ・シネマ週間」で4月1日、アラン・ギロディ監督の「湖の見知らぬ男」が上映され、来日したギロディ監督が、「カイエ・デュ・シネマ」副編集長のジャン=フィリップ・テセ氏、東京国際映画祭プログラムディレクターの矢田部吉彦氏とともにティーチンを行った。

 「湖の見知らぬ男」は、ギロディ監督の長編第4作で、同性愛男性が集まる湖で起きた殺人事件の行方を描き、第66回カンヌ映画祭ある視点部門で監督賞を受賞したミステリータッチの作品。

 上映前にギロディ監督は「この作品を検閲なしで上映していただけることをうれしく思います」と挨拶。劇中では、パートナーを見つけたいと願う男性同性愛者たちが、全裸で湖のほとりでくつろぎ、誘惑し合う場面がナチュラルに映し出される。「可能な限り当たり前に世界を映し出したい」という理由から、あえて登場人物の性器は隠さなかった。リアルな性描写についても「性交の場面をポルノグラフィの外に出して感情に結び付けたかった。セックスは愛の不可欠な一部、わきに追いやってはいけないと思った」とその意図を語った。

 「欲望の追求」を自身の作品のテーマとし、今作では「同性愛者の共同体の中のミクロコスモスで、実存的な意図を描いた」と解説。その一方で「官能を感じなければいけないと要求する現代社会、性のむなしさも語らなければと思った」と話す。夏の開放的な避暑地での出来事を描くにあたり「自然が我々に与えてくれるものだけを使いたかった」と、ほぼ全編を自然光で撮影。夜間のシーンは毎日太陽が沈む直前の30分間のみで撮影を敢行したと明かした。

 本年度のアカデミー賞作品賞を受賞した「ムーンライト」など、近年LGBTを扱った映画が高い評価を得ていることについて問われると「まだメインストリームだとは思いませんし、そういったカテゴリをつくることも適切ではないと思う。私自身、すべての人に語りかける作品を作りたいと考えている。(近年の話題作は)単なる同性愛ものを超えているから良い映画だと評価されているのでは」と持論を述べた。

 「第20回カイエ・デュ・シネマ週間」の上映作品、スケジュールは公式HP(http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1703310514/)に掲載。同特集はアンスティチュ・フランセ東京のほか福岡、大阪、京都、横浜に巡回する。