狭心症は血管が狭くなり、心筋に血流や酸素が送り込まれなくなって発症する。
 東海大学医学部付属病院循環器内科の外来担当医は、次のように語る。
 「心筋梗塞を起こした患者の中には、『健康診断などで数値はいずれも正常だった』、『たばこもアルコールもやらない』と言う人もいます。このように、最近の研究では、心筋梗塞のリスク要因が動脈硬化とは限らない場合もあることが分かっているのです」

 では、何が原因になっているのか。一つには「冠攣縮性狭心症」があるという。狭心症には、体を動かしている時に症状が出る「労作性狭心症」と、睡眠時など安静にしている時に症状が出る「冠攣縮性狭心症」がある。
 「後者は『安静時狭心症』とも呼ばれます。労作性、冠攣縮性ともに心筋梗塞の前兆ですが、労作性が生活習慣病などによって動脈硬化が進行した状態で表れるのに対し、冠攣縮性は心臓に酸素を送る冠動脈が一時的に痙攣を起こして収縮し、血流が途絶えた時に表れる。実は、この『冠攣縮性狭心症』の原因は正確には不明な点が多い。突如発症してしばらく症状が続いても、治ってしまう場合もある。ただし、特に男性が起こりやすいとされ、不眠やストレスも関わっているという見方があります」(専門医)

 一方、動脈硬化については、医学博士の内浦尚之氏がこう説明する。
 「恐ろしさを理解していな人が多いのが、LDLコレステロール、別名悪玉コレステロールです。中性脂肪が高いと、低い場合より動脈硬化が進行しやすい。これは、中性脂肪がLDLを小型化し、冠動脈の細胞壁に入り込みやすく、蓄積しやすくさせるからです。食生活の改善でも数値が下がらなければ、薬が必要と判断されます」

 また、家族性高コレステロール血症を見逃してはいけないという。
 「遺伝子異常で血液中のLDLが細胞内に取り込まれず、血液中にたまる病気と言われ、小児の頃からLDLが高めで、心筋梗塞のリスクが、家族性でない人と比較すると13倍も高いのです。小児の健康診断では、一般的にコレステロール値が項目に入っておらず、見逃されている人もいる。家系に心筋梗塞や狭心症の人がいるような検査をした方がいいでしょう」(同)

 急性心筋梗塞は、1年間において1月が最も発症率が高く、次いで12月、3月と続く。ではこの時期、リスクを下げるには、どんなことに気を付ければいいのか。
 「寒暖の差が激しいこの時期は、まだ注意が必要です。寒いと人は体温を維持しようとして血管を収縮させ、狭窄しやすい細さになるのです。そのため、マラソンや散歩、ゴルフなどで、いきなり寒い外に飛び出してはいけません。事前に十分なウオーミングアップをしておきましょう。また、寒いお風呂場は特に危険。衣服を脱ぐ前に脱衣所を温め、浴室も温水のシャワーを出しておくことです」(健康ライター)

 突如として命が奪われる急性心筋梗塞。生活習慣病など、そのリスクを高める原因を一つでも取り除く努力をすること。また、無理をしないことも、命を守ることにつながることを覚えておこう。