北朝鮮当局は、個人宅での商売を取り締まる方針を示した。個人宅で商売をされると、当局が大きな「税収」として期待している市場管理費を取りはぐれてしまうからだ。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近、保安員(警察官)と人民班長(町内会長)が、家々をまわり、「4月から、自宅で商売をすれば取り締まる、商売をするなら市場でやれ」と通告している。「従わなかったり、不満を見せたりすれば、保安署(警察署)に引き渡す」と脅しをかけており、人々は不安を感じている。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋も、同様の状況を伝えた。

情報筋によると、商業管理所、市場管理所、洞事務所(末端の行政機関)が共同で、自宅で商売を行っている家の調査を行った。その結果を元に、保安署が大々的な取り締まりを予告している。

個人宅での商売は拡散傾向にある。荷物の運送費や手間がかからず、市場管理所に市場使用料を払わずに済むからだ。ところが、当局はこのような状況に不満を抱いている。

北朝鮮は「税金のない国」を公式に宣言している。だからと言って、税収なしでは行政機関の運営もままならない。そこで、市場で商売をする人々から市場管理費を徴収し、税金の代わりとしている。自宅で商売をされると、「税収」が減ってしまうのだ。両江道の一部の市場では、売台(ワゴン)の3分の1が空いている状況となっている。

このような動きに対して「自宅で商売させないのなら、配給をよこせ」と食ってかかる人もいるが、保安員は「利益を独り占めするのが悪いのだ、払うべきものを払って商売すればああしろこうしろとは言わない」「商売をするなとは言っていない、市場でしろと言っているだけだ」と反論する。

両江道の情報筋が、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、昨年11月の時点の市場管理費は1週間で3500北朝鮮ウォン(約46円)で、コメ700グラム相当の額に過ぎない。しかし、塵も積もれば山となる。

韓国の統一研究院のチャ・ムンソク教授の推算によると、北朝鮮当局が1日に得る市場使用料は、14億4855万北朝鮮ウォン(約1883万円)から18億4771万北朝鮮ウォン(約2402万円)に達する。

今回の措置がどれほど徹底されるかは未知数だ。北朝鮮では既に、自宅を店舗に改造し、食品や雑貨を扱う「小売店」と呼ばれるコンビニのような店が定着しているからだ。結局のところ、保安員がワイロを受け取って自宅での商売を見過ごすことで、骨抜きになってしまう可能性が高い。