働き女子はいつだって優しい癒しを求めている。だから、甘めでゆるめなラブストーリーをCandy BoyとSuits WOMANがプレゼンツ。今回の主人公は仕事に恋に疲れたアラサー、香澄。

「私の人生、本当に終わってる」

私、湯本香澄(33)は、数か月前までは自然派化粧品や健康食品を扱うECショップで働いていたごく普通のOLだった。趣味はネットショッピングで、特技は検索で1円でも安い商品を見つけること。趣味と実益を兼ねたECショップの運営の仕事は楽しかったけれど、会社が倒産しかかり、今年で33歳になるアラサーの私はなんとリストラ対象に!学生時代に取った英検2級と運転免許証以外はたいした資格もなく、転職活動は30社受けて全部不採用!さらには、結婚を前提に付き合っていた彼氏が、まさかの浮気!気づけば仕事も恋人も失い、まさに厄年ともいえるピンチに、おしゃれやメイクする意欲もなく落ち込んで過ごす日々。

必死の再就職活動中、先日見つけたのが、ネイルやハンドケア製品を扱っているECショップ「ガトーシュクレ」。その名の通り、女の子が大好きな甘いお菓子のようなネイルやハンドケア商品が揃っていて、お店ごと全部買い占めたくなってしまう。扱っている商品は、独自のルートで社長の“ちはるさん”が選んだフランスからの輸入品。どうやらこの“ちはるさん”が、超絶やり手女性社長っぽいのよね。数年でこの会社を成長させているわけだから、スーパー才女なんだろうな。資料を見ると会社の雰囲気もオシャレで楽しそうだし、ああ妄想が広がる。
「こんな会社で働けたらなあ……、でもフランス語が話せないとダメかなあ……33歳でも受け入れてくれるかなあ……?人生終わってる私だけど、ダメ元でエントリーしてみるか」

そんな会社の面接日、あまりにも緊張しすぎて寝坊してしまった。急いで職場に向かう満員電車の中で、グロスだけでも塗ろうとしたら急ブレーキが。

「あっ」

「大丈夫ですか?」誰?この満員電車の中で私をガードしてくれる好青年は!?

アイロンのきっちりと掛かった仕立ての良いシャツを着た男性の胸もとに、グロスが付きそうになった。満員電車の中で身動きが取れずに苦しんでいるのに気づいてくれたのか、彼は私の事を守るように窓に手を添え空間を作ってくれた。なんだろう、この甘い匂いは。

「すいません」

「大丈夫ですか?さっきから苦しそうだったので」

よく見ると、彼は優しそうだけれど意志が強そうな目をしていた。思わず、寝ぐせ気味の髪を手で直し、咳をするふりでメイクしていない口元を隠した。なんでこんなイケメンと至近距離の時にノーメイクなの!

駅に着いて慌ててホームに降りると「すいません」と後ろから声が。さっきの好青年!「凄く綺麗な手だったので。よかったらハンドモデルをやってみませんか」

鞄の中にある荷物を探している彼。よく見ると、日経新聞から英字新聞まで入っている!就活中の大学生なのかしら?そんな彼から渡された名刺には、「ディレクター」の名前が。あれ、この社名は……。

「あっ、これ」と驚いていると、「よかったら連絡ください」と言って好青年は立ち去って行った。ハンドモデルね、今日の面接がダメだったら、アルバイトしてもいいかもなんて考えがふと頭をよぎった。

面接で待っていたのは、驚きの再会!

そんなこんなで慌てて駅でメイクをして、面接に向かった。オシャレなオフィスの奥にある会議室が面接会場。ああ〜緊張する〜!!気合を入れてドアを開け、自己紹介。

「ゆゆゆ……湯本香澄と申します。前職はECショップでディレクションや、デザインなどもしていました。御社のオーガニックなど成分にこだわった優しい商品が大好きで、自分も商品にかかわれたらと心から希望しています!よろしくお願いいたします」

アラフォーと思しき女性と男性が座っている。そして窓際にはフランス語で電話をしている男性が……。

「ちはる社長、こっちです」

あれ、この甘い、いい匂いは……今朝の英字新聞の好青年!

スーツ着てるから、一瞬わからなかった……!

「あ、あなたは」

「(笑いながら)初めまして……かな。“ガトーシュクレ”の代表取締役の奥村千晴(ちはる)です」

「ブログでちはるさんって書いてあったので、てっきり女性だと思っていました」

「(笑って)よく間違えられるので、そのままにしているんですよ」

「千晴さんは、現役の大学生なんですよ」

「えっ!」

自分より年下の大学生が社長!?

驚きを隠せなかった私を、クスッといたずらっぽく笑う好青年もとい、千晴社長。あまりにも驚きすぎて、猫を被ることもできず、素の自分しか出せなかった……。この面接、うまくいくの?いったい、私どうなるの?

なぜか、イケメン大学生社長と2人っきりで過ごす羽目に……!? 後編につづく