『ワイルド・スタイル』から『8マイル』まで、傑作ヒップホップ映画20選

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『ワイルド・スタイル』から『8マイル』まで、歴代傑作ヒップホップ映画を20本紹介する。

ヒップホップをテーマにした映画は、音楽そのものと同じくらい多様で長い歴史がある。N.W.Aのドキュメンタリー『ストレイト・アウタ・コンプトン』のように実話に基いたものもあれば、ラフ・シモンズが立ち上げたデフ・ジャムの隆盛を描いた『クラッシュ・グルーヴ』のように、実話にインスパイアされたフィクションも存在する。また『BELLY 血の銃弾』のようなクライムフィクション、『ポケットいっぱいの涙』のようなコミュニティの実情を描いたフッド・ムービー、『ワイルドキャッツ』のようなスポーツもの、そして『Friday』のようなコメディ映画まで、その種類は多岐に渡る。スパイク・リーが監督を務めた『ドゥ・ザ・ライト・シング』を含め、これらの作品は現代社会に多大な影響を及ぼしたヒップホップカルチャーの一部に他ならない。その中でもとりわけ大きなインパクトを残したヒップホップ映画10作を以下で紹介する。

『Style Wars』(1983年)

トニー・シルヴァーが監督を務めた、ニューヨークにおけるヒップホップ黎明期の興奮を描いた本作には、ヘイズ、キャップ、ドンディ、クレイジー・レッグス、DJケイ・スレイ、デズといった、後に名を馳せる様々なグラフィティ・アーティストやブレイクダンサーたちが登場する。カラフルでユニークなキャラクターに満ちた本作は、ヒップホップカルチャーのアートとしての側面を捉えているだけでなく、後に巨大産業へと成長する文化が誕生した頃のエネルギーを描ききっている。

『ワイルド・スタイル』(1983年)

初期のヒップホップカルチャーをテーマにした映画は数多く存在するが、『ワイルド・スタイル』ほどその瑞々しいエネルギーを見事に描いたものはない。監督を務めたチャーリー・エーハン(彼が手がけた低予算映画『The Deadly Art of Survival (殺人的護身術)も必見)は、プロの俳優ではなく、リー・ジョージ・キュノネスとレディ・ピンクという本物のグラフィティアーティストを主演に起用した。またダウンタウンの有力パトロンだったパティ・アスター演じるジャーナリストのヴァージニアとリーを引き合わせ、マンハッタンのギャラリー界隈に彼の才能を広めようと尽力する男性をファブ・ファイブ・フレディが演じている。階級社会、リアルの定義、そして「セルアウト」に対して本作が投げかけた疑問は、公開から30年以上経った今なお有効だ。

他にもキッチンでレコードをプレイするグランドマスター・フラッシュ、バスケットコートでライム・バトルに興じるコールド・クラッシュ・ブラザーズとファンタスティック・ファイヴ、ショトガンを持ったラメルジーがイースト・リバー・パークの円形ステージに上がるクライマックスなど見所は満載だ。またブロンディのクリス・スタインやファブ・ファイブ・フレディが書き下ろしたオリジナル曲や、ダブル・トラブルをはじめとするオールドスクール・レジェンドたちのライブパフォーマンスを収録した本作のサウンドトラックは、ヒップホップ史に残る名盤として愛され続けている。

『ブレイクダンス』&『ビート・ストリート』(1984年)

1984年当時、ヘアバンド、段ボール、K-Telのコンピレーション『ブレイク・マスター・フィーチャリング・ニューヨーク・シティ・ブレイカーズ』、そしてブレイクダンスの教則本は、世界中のBボーイたちの必須アイテムだった。生まれたばかりのヒップホップというカルチャーに夢中になった郊外のキッズたちにとって、『ブレイクダンス』と『ビート・ストリート』はまさにバイブルだった。ハリー・ベラフォンテが監督を務めた、資本主義社会が加速する80年代のニューヨークで成功を夢見る若きDJの物語である『ビート・ストリート』には、アフリカ・バンバータ、ザ・ソウルソニック・フォース、メリー・メル、ザ・システム等のパフォーマンス映像も収録されている。『ブレイクダンス』は作品のクオリティこそ一流とは言い難いものの、若き白人のジャズダンサーがシャバ・ドゥーやブーガルー・シュリンプといったロサンゼルスの人気チームに挑むシーンは最高にクールだ。