地球から旅立つ「宇宙ヨット」のイメージ図。(Breakthrough Initiatives発表資料より)

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 突然だが、この太陽系から最も近くにある「隣の星」は何処だかご存知だろうか。その星は、ケンタウロス座の恒星アルファ、通称、アルファ・ケンタウリという。地球からの距離は約4光年。ここに、もちろん無人ではあるが、探査機を送り込もうという計画が持ち上がっている。その名は、ブレイクスルー・スターショット計画。

 距離が4光年強であるので、あり得ない仮定をしてみるが当然、光の速さで飛んでいったとして4年とちょっとかかる。なお、この計画は、ハヤブサによる小惑星イトカワ探査プロジェクトのような、探査機の帰還までは想定していない。

 どうやってそんなところまで探査機を飛ばすのか?従来開発されている宇宙探査機の速度では、アルファ・ケンタウリ到達まで(そもそも到達できるのか、という問題をさておいても)あまりにも長い時間がかかりすぎてしまう。そこで構想されているのが、「宇宙ヨット」ないし「ソーラーセイル」と呼ばれる技術である。

 構想では、探査機は指でつまめるようなサイズのコンピューターチップとなる。そこに、一辺4メートルの正方形の「帆」を取り付け、そこにレーザービームを当てて加速する。そうすると、理論上では、なんと光速の20%という驚異の推進力を得ることができるという(ただし、あくまでも理論段階であり、光速の20%を実際に達成した実験機などが存在するわけではない)。

 宇宙ヨットという技術そのものは、実証実験段階には入っている。2010年、日本のJAXAが打ち上げた、「イカロス」という宇宙ヨットがそれだ。もっとも、これはただ飛ばしてみるというのが目的の実験機である。

 ちなみにこのプロジェクトには、アメリカのシリコンバレーの大富豪が出資を行い、また、研究グループの中に“天才物理学者”スティーヴン・ホーキング氏の名前が含まれることでも注目されている。

 なお、現在の路程表では、技術開発だけで少なくとも約20年の年月が必要であり、打ち上げは最も早くて2040年頃になる見込みであるという。そして飛行に20年、収集データを太陽系に戻すまでにさらに4年。まあ、半世紀で終結してくれるなら御の字、と言ったところだ。

 有体に言うと、専門の宇宙科学者の間でもプロジェクトの現実的な実現性に対して疑惑の声の方が大きいとのことであるが、もし万難を排して実現したとするならばこれほど夢のある話もそうそうないのは確かである。気長に経過報告を待ちたい。