驚異の世界新 羽生に前王者も脱帽「ミスなくこなしたら、彼は無敵だね」
フリー歴代最高得点で3年ぶりV、前王者フェルナンデス「彼に勝てるのか?」
フィギュアスケート世界選手権(ヘルシンキ)の男子フリーで歴代最高得点を叩き出し、ショートプログラム(SP)5位から大逆転で3年ぶりVを果たした羽生結弦(ANA)。自身が持つ世界記録を塗り替えたフリーの223.20点は世界に衝撃を与えたが、その大きさはライバルにとっても同じようだ。大会2連覇中だったハビエル・フェルナンデス(スペイン)が「彼がミスなくこなしたら、無敵だね」と脱帽している。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」が報じた。
SP1位だったフェルナンデスは最終滑走のフリーで、4回転サルコーで転倒するなど、ミスが出て4位。5人前に滑り、前人未踏のスコアでリンクを支配した羽生とは対照的な結果となり、表彰台に上がることができなかった。世界王者を2年間守り続けたスペイン人は、その座をかつての王者に明け渡した。
記事では、演技後、インタビューエリアに現れたフェルナンデスの後ろのスクリーンで金メダルを受け取る羽生が映し出される中、なぜフェルナンデスが羽生の代わりにあの場所にいないのか、理由をこう明かしたという。
「誰かに耳元で言われている気分だ。『オーマイゴッド。みんな、素晴らしい演技じゃないか。なんてこった、君が最終走者じゃないか。本当にやりたいのか? 彼は自己新を出したんだよ。彼に勝てるのか?』とね」
合計300点超が4人飛び出した空前のハイレベルな決戦。世界新を出し、その争いを制した羽生を手放しで称賛していた。
フェルナンデスに金メダルかけた羽生「メダルが誰に相応しいか、疑問を挟む余地はない」
もっとも、恐ろしいのは羽生には、まだ可能性を感じさせるところである。合計321.59点をジャンプミスで5位とスコアを伸ばせなかったSPから叩き出したのだから、自身が持つ世界歴代最高330.43点はもちろん、さらに得点が伸びる可能性はある。
それは、SPの10.66点差をあっさりとひっくり返されたフェルナンデスも感じているようだ。
「もし、彼がショートもロング(フリー)もミスなくこなしたら、思うに彼は無敵だね」
そう語った記事では、インタビューエリアに現れた羽生はフェルナンデスとハグを交わすと、金メダルをフェルナンデスの首にかけてみせたというが、「しかし、この土曜日に関して言えば、このメダルが誰に相応しいか、疑問を挟む余地はなかっただろう」と結んでいる。
驚異の世界新をマークしながら、SP、フリーを通していえば“ノビしろ”を感じさせた日本の22歳。前王者の言う通り、完璧な羽生結弦を見せれば、「無敵」の世界王者となるだろう。