2017年現在、マツダ「アクセラ」が国内教習所の教習車として大きなシェアを占めています。マツダとしても力を入れているという「アクセラ」教習車は、いかにして広まったのでしょうか。

「アクセラ」教習車が多いのは「当然の流れ」?

 普通自動車運転免許の教習で乗ったクルマは何でしょうか。15年ほど前に運転免許を取得した記者の場合、タクシーなどでよく見かけるトヨタ「コンフォート」や日産「クルー」だったと記憶しています。

 ところが近年に取得した人と話をしていると、多くの人がマツダ「アクセラ」だったといいます。その「アクセラ」を普通車の教習車として導入している東京都葛飾区の平和橋自動車教習所に話を聞きました。


マツダ「アクセラ」の教習車モデル(画像:マツダ)。

――「アクセラ」を採用している理由はなんですか?

 昔はマツダ以外の教習車を使っていたのですが、ある教習所が閉鎖されるにあたり、その教習所で導入したばかりだった「アクセラ」を一部引き取ったのがきっかけです。特に悪いところはなく、生徒からも「かっこいい」と好評なこと、そしてコストパフォーマンスがよいことから、その後、ほかの教習車を更新するにあたっても「アクセラ」を導入しました。

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 同教習所によると、「教習車モデル」が設定されている車種は限られていて、それ以外のクルマを教習車にする場合は改造が必要な場合もありコストが高くなるとのこと。「アクセラ」は、教習車モデル設定車のなかでも特にコストパフォーマンスがよく、「導入する教習所が増えたのは当然の流れ」だと話します。

 実際に「アクセラ」は教習車としてどれほどのシェアがあり、どういう特徴があるのでしょうか。マツダに聞きました。

――「アクセラ」の教習車としてのシェアはどれくらいですか?

マツダ調べ」ではありますが、直近では30パーセント台のシェアです。

教習車として拡販、その狙いとは

――やはりシェアは高いですね。普通の「アクセラ」とどう違うのでしょうか?

 教官用モニター、教官用シートリフター(座面の高さ調整装置。運転席には標準装備)のほか、エンジンが異なっていたりストップランプをLED化していたりと、教習車向けの仕様です。

――教習車としてのセールスポイントはどのあたりでしょうか?

「アクセラ」はスタイリッシュ・セダンとして、そのデザインで好評をいただいています。また、AT車のエンジンは1.6L、4速AT(通常の「アクセラ」は6速AT)を採用し、キックダウンをわかりやすく教習できる仕様です。

――いつごろから、どのような経緯で教習車として拡販することになったのでしょうか?

 当社では「ルーチェ」(編注:かつてのマツダにおける高級セダンの代表車種。1995(平成7)年に販売終了)の時代から教習車をラインナップしており、2004(平成16)年以降は「Zoom-Zoom」で格好の良い「アクセラ」をベースに拡販しています。

――通常の「アクセラ」の売り上げ拡大に貢献していますか?

 具体的な関連性を示す数値はありませんが、初めて運転するクルマが「アクセラ」であったことで、免許取得後にクルマを選ぶ際、マツダブランドをご検討いただくことも増えたのではないかと考えています。


2014年6月には「アクセラ」教習車が累計生産台数1万台を突破した(画像:マツダ)。

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 多くの人にとって初めて乗るクルマである教習車を、マツダブランド全体の入口にする、そのような役割が「アクセラ」の教習車にはあるようです。

【写真】ホンダが2015年に投入した教習車「グレイス」


「アクセラ」は3ナンバーだが、「グレイス」は5ナンバーのサイズ(画像:ホンダ)。