「演技は“職人芸”だ」来日したサミュエル・L・ジャクソン
 - 写真:金井尭子

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 大ヒット公開中の映画『キングコング:髑髏島の巨神』で、キングコングに立ち向かっていくパッカード大佐を演じた名優サミュエル・L・ジャクソンが、これまでのキャリアを振り返るなかで、演技の極意を語った。

 世界中で愛され続けてきたアメリカ発の類人猿モンスター“キングコング”と火花を散らす役どころを務めたサミュエル。『スター・ウォーズ』シリーズのメイス・ウィンドゥ役をはじめ、超大作にはかかせない存在となっているサミュエルにとっては、今作のようなブルースクリーンでの演技は楽勝だと本人は笑う。

 それでも、彼以外に一体誰がキングコングと張り合うことができただろうかと思わざるえない迫真の演技を見せつけられたら、その秘訣が気になるところ。「ストーリーに誠実でいたいと思っている。物語の中で自分のキャラクターと、その周囲のキャラクターとの関係に対して、できる限り正直でいようとしているよ」と切り出すサミュエル。「自分のキャラクターにリアリティーを持たせようとね。演じるのが実在の人物で、参考資料があればもちろん読むし、そうでなければ自由だ。そのキャラクターの人生を創造できるからさ。いつ生まれ、どんな両親を持ち、どんな教育を受け、どんな料理が好きなのかって、そういうことをすべて勝手に考える。そうすることで、観客がそのキャラクターをリアルだと感じることができる。その正直さというのが、観客の人にも伝わればいいと思ってやっているよ」と続ける。

 サミュエルは、多くの舞台で演技経験を積んだ後、『ジュラシック・パーク』『パルプ・フィクション』『ダイ・ハード3』『交渉人』『アベンジャーズ』などなど、数えきれないほどの話題作に出演し、遅咲きと言われながらも、ハリウッドで不動の地位を築いた。「今の自分があるのは、舞台俳優としての良い基礎があったからだと思う。演技は“職人芸”だ。特定の技術をしっかり身に着ける必要があって、自分の道具箱の中で道具とも言うべく技術をひたすら増やしていくようなもんだ。それがそろってくると、意識せずともたやすく演技に花を咲かせることができる。とてもしっかりした基礎があるからこそできることだ」。

 そんなサミュエルは現在68歳の大御所。今作でトム・ヒドルストンやブリー・ラーソンら今をときめく俳優陣と共演したように、どの作品でも新鋭との共演が待ちうけている状況だ。同じ演者として、若い共演者に何か思うことはあるのだろうか。「責任感ということなら、見本となって示すことを心掛けてきたつもりだ。現場では時間通りに行動し、自分の演技をしっかりこなす。可能な限りプロフェッショナルでいようとね。若手たちがそれから何かを感じ取ってくれるといいなと思いながら」と少し照れくさそうに心がけを明かす。

 「あとは、どんなに撮影に追われていても、思う存分楽しむようにしている。役者はすばらしいことばかりの職業だと思われがちだけど、身を粉にして働かなくてはいけないから、いつもお気楽にやっているわけじゃないんだ。ストーリーに対する責任があるし、もちろん観客に対してもだ。彼らが観てくれるわけだからね」。まっすぐな視線でそう語るサミュエルの姿に、彼への出演オファーが絶えない理由を悟らずにはいられなかった。(編集部・石神恵美子)

映画『キングコング:髑髏島の巨神』は全国公開中