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女優の田中麗奈は、昔「なっちゃん」と呼ばれていました。理由はブレイクのきっかけとなった清涼飲料水『なっちゃん』のイメージキャラクターとしての印象が、あまりにも強過ぎたためです。
田中扮する新人女優「なっちゃん」の日常を描いたテレビCMは、短編ドラマ仕立て。田中の初々しさや、先輩女優役・加賀まりこの味のある芝居が評判を呼び、抜群の人気を誇ったものです。

当時、“話題のCM美少女”的立ち位置で、田中がバラエティ番組にゲスト出演して「田中麗奈です」と自己紹介する度に、「本名はなっちゃんじゃないんだ!」などとMCに突っ込まれ、当人は微妙な笑いを浮かべていたのを記憶しています。それほどまでに、この頃は田中麗奈=なっちゃんだったのです。

そんな元祖にしてもっとも偉大な、初代なっちゃん・田中麗奈の功績もあって、『なっちゃん』のコマーシャルは、清純派女優の登竜門と化していきます。堀北真希(2006年〜2008年)や桜庭ななみ(2010年)など、後の人気女優も出演してきたこのCMシリーズにおいて、一際眩い輝きを放ったのが、本稿で紹介する星井七瀬です。
彼女が「3代目なっちゃん」に就任したのは、2003年のことでした。

『なっちゃん』のCMをきっかけに改名した星井七瀬


「わたしはな〜っちゃん♪ 歌って踊る♪ 15秒だけのシンデレラ♪」

こんなキャッチーなフレーズを歌う、ミュージカル仕立てのテレビCMが話題となった、星井七瀬版なっちゃん。当時14歳。黒髪ショートに、大きくクリクリとした目、世慣れてない感じのあどけない笑顔……。こうした星井のルックスは、キリッと引き締まった顔立ちの田中とは対局に位置するもの。

しかし、愛くるしさ満点のフェミニンな魅力に溢れており、2代目なっちゃんとして子役の三浦透子を挟んだあとに3代目のこの星野を起用し、また新たななっちゃん像を再構築しようという制作側の心意気が垣間見えるかのようでした。

ちなみに、彼女、本名は「星野由真(ほしのまゆ)」というのですが、芸能界における愛称を「なっちゃん」にするため、わざわざ「星井七瀬」へと改名したのだとか。

星井のラップがクセになる“迷”曲『恋愛15シミュレーション』


『なっちゃん』襲名以降、ドラマにバラエティにと順風満帆なタレント活動を続けていた星井七瀬。後にロックバンドを結成するなど、もともと音楽的志向の強かった彼女は芸能活動初期の頃からアーティスト活動へも積極的で、特に“迷”盤として名高いのがデビュー曲『恋愛15シミュレーション』。

“脱力系ヒップホップ”を志向する同曲は、歪んだ音色とスローなテンポ、そして星井の舌ったらずなラップがなんともクセになるスルメ曲。このどこへ行ってしまうのか分からない不安定な曲調そのままに、彼女は周囲が期待する“なっちゃん像”に背を向けるかのように、“迷走”することになります。

ブログで書かれていた衝撃的な告白とは?


2010年4月、星井のブログにはこんなことが書かれていました。

「昔は“なっちゃん”と呼ばれるのがイヤでした。」

加えてこんな過去の告白も。

「私の両親は小学2年くらいの時に離婚しました。中学1の時ギャルを目指してました。初めてのキスは中学1の夏に友達の弟(3才)にいきなり奪われました。この間、初めてパチンコしました。もちろんエヴァ目当てにです。パチンコは無駄遣いですね。」

極めつけは、「実は、女の子を好きになった事があります」「ナチ映画が好きだから何?アナキーだから何?同性愛者になった事があるから何?」「偏見や差別なんて気にしないわ。私は私だから。」……。

周りに求められるままに、清純派としてのイメージを守り続けることへの、葛藤や辟易が伝わってくるかのようです。
これらの文面が掲載された直後に、彼女のブログは閉鎖。以降しばらく表舞台から姿を消してしまいました。

その後、2011年12月29日に、事務所の公式サイト上で一般人男性との結婚と出産を発表。最近では、2014年のドラマ『ファーストクラス』(フジテレビ系)に出演するなど、芸能活動を再開しつつある星井七瀬。28歳になった彼女が、これからどんな活動を展開していくのか、見守っていきたいところです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより星井七瀬写真集 「星井七瀬」