世界ランキング4位の錦織圭【写真:Getty Images】

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専門家が見るマイアミ・オープン8強敗退の要因とは

 男子テニスの世界ランキング4位・錦織圭(日清食品)は29日(日本時間30日)、マイアミ・オープンの準々決勝で同40位のファビオ・フォニーニ(イタリア)にストレート負けを喫した。錦織は前日の4回戦、フェデリコ・デルボニス戦(アルゼンチン)で痛めた左膝と右手首の故障の影響で、フォアハンドとサービスで本来の威力を発揮できなかった。今年、クレーコートは2月のアルゼンチン・オープン(準優勝)、リオ・オープン(1回戦敗退)の2連戦で幕を開けたが、専門家はクレーコートでの戦いが右手首に負担をかけた可能性を指摘する一方、今季終盤戦に向けた起爆剤となる可能性もあるという。

「錦織選手は手首をテーピングで固定している試合が多いのですが、フォニーニ戦では手首が本当に厳しい状態に見えました。手首に痛みがあると、ラリーのボール、ショットのクオリティは落ちます。フォアハンドは特にスイングを振り切ることができません。ボールが当たった時の衝撃が響くので、痛みで最後まで振り切れない。そして、全体的にストロークの威力も軽くなってしまいます。

 トップスピンをかけると痛みが出る。それが理由で、フォアハンドのボールがすっぽ抜けて、アウトになるミスが多かった印象があります。本当に痛かったんでしょう。フォアハンドは手首の負担が軽いドロップショットばかり狙っていました。バックハンドのスライス、サーブアンドボレーとプレーの選択は良かったと思います。でも、痛みの影響で精度は落ちてしましました」

 プロテニスプレーヤーの綿貫敬介はこう分析した。手首の痛みの影響で錦織のショットの選択とゲームメークは大幅に制限されたという。

 4回戦のデルボニス戦から膝と手首に痛みが生まれていたという錦織だが、今シーズンのクレーコート戦略によるダメージも蓄積し、代償となった可能性があるという。

消耗激しいクレーコート戦を乗り切れば、後半戦逆襲の材料に?

「試合のスケジューリングによる影響もあったかもしれません。今年序盤はブエノスアイレス、リオデジャネイロとクレーコートの大会を選択しました。クレーでは他のコートよりも重たいボールが飛んできます。知らずに手首に負担がかかったのかもしれません。

 打球の重さはサーフェスによって違います。ハードコートの方が一瞬の衝撃は強くなりますが、クレーコートは回転がかからないと簡単に返される。自分で回転をかけて、ボールを返さないといけない。相手もスピンをかけてくる。蓄積する疲労はクレーコートの方が多いと思います」

 綿貫はこう語った。2月のブエノスアイレスでは決勝で惜敗し、直後に臨んだリオデジャネイロでは初戦敗退を喫した。だが、序盤戦でクレーコートで戦ったことが、後半戦躍進の布石になる可能性があるという。

「クレーコート育ちの選手に比べて、身体の負担は厳しいものになります。しかし、長い目で見れば、クレーコートシーズンは消耗しながらも、体力勝負につながっていれば、今後にとってもプラスになります。数か月後に身体の余裕を感じられるようになることもあります。ハードコートやツアーの連戦が楽に感じるようになる。もし、ダメージの回復だけに時間を費やすようなケースになると意味はありませんが」

 綿貫はこう分析した。フィジカル的な負担や消耗の激しいクレーコートでの戦いを序盤に乗り切ることで、終盤戦に向けた体力強化というプラス材料が存在するという。錦織は4月24日のバルセロナ・オープンから、5月のマドリード・オープン、BNLイタリア国際、全仏オープンとクレーの連戦が続く。

 消耗の裏でフィジカルを強化できれば、クレーでの死闘は錦織の後半戦逆襲の材料となるかもしれない。