古い友人に再開した気分です。

Webサイトというのは歴史の変遷、技術の進化、ユーザーニーズの変化によって、その時代時代に合わせた方向転換が何度か行われています。

インターネット黎明期にユーザー・企業によって創作されたWebサイトは、発信者から受信者へという流れが明確にされた指向性の高いコンテンツでした。しかし、ブログやソーシャルの発達、ネットワークやプラットフォームの変化に伴い、現在では発信者と受信者という概念が取っ払われ、双方向に情報を共有できるという流れになっています。そんな過去のインターネットは「Web1.0」、変化したインターネットの姿を「Web2.0」と称されることもあります。

これは多くの人に当てはまるのかどうかわからないのですが、個人的には、明確に「Web1.0」「Web2.0」といった固定化された概念はないのでは?と思っています。情報を伝播させるといったWebの役割の中でメインとなるものは同じですが、メディアによっても人によっても、それぞれのWeb概念があり、これが「WebX.Xだ!」というのはそれぞれ異なっていて良いと思っています。

人それぞれのWeb概論があるといったところも、またインターネット文化の面白いところです。意欲的なサービスや斬新な伝え方が生まれ出る可能性があって、そういった突出した可能性の矛先が、その時々のテクノロジーやカルチャーに刺さることで、またWebに進化が生まれるのであろうと期待されます。

今後も変化を続けていくであろうWebを楽しみたいのであれば、その歴史を知っておくのもまた趣。ひょっとしたら変遷の歴史を知るということで、この先を予見できるかもしれませんし、何の役にも立たないかもしれません。しかし、話のネタにはなるでしょう。実際に僕はAppleの発表会時の編集部にて、この話題で盛り上がった記憶があります。

では、Web1.0時代と言われる過去のWebサイト、いや「ホームページ」時代と言った方が正確でしょうか。当時のデザインを思い出してみましょう。

・「ようこそあなたは◯◯人目のお客様です」
・勝手に流れ、決して止められないMIDI(BGMサウンド)
・背景画像を残した多重スクロール
・2分割・3分割されたフレーム構造
・マウスについて回る不思議なキャラクターやエフェクト
・このページはInternet Explorer 5.x 推奨です

すべてのホームページがそうだったわけではありませんが、当時のユーザーホームページに限定すれば、こういった特徴がありました。そして、キリ番を踏んだ(アクセスカウンターで切りの良い数字やゾロ目で来訪すること)ユーザーは掲示板への報告が義務づけられています。なお、報告してもそこまで良いことはありません。

今考えると、確かにこの頃のWebデザインは作り手側の自己主張を押し出していくことが重視されていたように思います。「自分(もしくは製品・キャラクター)を伝えること」にステータスを全振りしているのです。これには時代背景も大きく関係しています。

今でこそインターネットは誰でも、それこそ手元の小さなスマートフォンで屋外でも楽しめるものとなりましたが、当時のインターネットは、まだ今ほど一般化されておらず、扱える人も一握り。インターネットにアクセスできる時間が限られていた時代もありました。そんな中で育った文化のため、今とは比べ物にならないほど小さなパイの中で、いかに受信者側に情報をぶつけるか? と、みんながみんな野茂のトルネード投法で顔面を狙っていたわけです。

さて、これが現在のWeb2.0と言われる時代ではこれがどうなったか?というと、皆さんが感じているとおり、ブログやMedium、SNSといった双方向性の高い表現手法がメインになりました。もちろん、一方的に情報を打ち出すWebサイトも手法としては当然残っていますが、ユーザー側が発信する情報という囲いで見れば、それらの多くが双方向性のものへとシフトしています。誰でも発信でき、発信したものに他者が意見を載せて発信する、誰もが発信者になれて、どこでも発信者になれて、そして誰もが受け手である。お互いに情報をキャッチボールし合い、時折レーザービームでホームを刺すといった流れが今のステージです。

柄にもなく真面目な書き出しで始めましたが、この記事はプリキュアです。


170330omok01.gif


さ〜て、今期は何のおもちゃを買おうかな♪

とワクワクしながら、バンダイ様の『キラキラ☆プリキュア アラモード』のページを見ていたところ、昔なつかしの「マウスカーソルについて回るアレ」を発見したのです!

あまりのノスタルジックにズキューンと来てしまいました。また、よく見ると背景画像を残した二重スクロール構造になっているところにもまたズキュン。これでBGMが流れたらパーフェクトじゃないか! と変なワクワク感を感じてしまいました。なお、前作『魔法つかいプリキュア』、前々作『GO!プリンセスプリキュア』もキラキラマウス機能はありません。ひょっとしたら、リアルタイム放映時にはキラっていたのかもしれませんけどね。

さて、過去にこのキラキラマウスを採用した例としては、2008年の『Yes! プリキュア5GOGO!』があります。2008年はすでにADSLなどのブロードバンドが発達していた時代であり、Web1.0と呼ばれる文化が終わろうとしていた頃です。僕は狙ってキラらせているのだと受け取りました。

こういったプリキュアのWebページデザインの変遷については過去「プリキュアの重さを調べる」として一度調査しましたが、まさかバンダイのおもちゃ紹介サイト側に、こんなギミックが仕掛けられていたことは想定外で、あの時代を知る身としては非常に心躍る発見でした。同時に、

なぜ2017年にキラらせたのだろうか?

といった疑問が生まれるのも当然でしょう。現在、情報入手の手段としてパソコンよりも、スマホやタブレットといったモバイル端末へとシフトしつつあります。これは総務省の「平成28年版 情報通信白書」にデータがあるので、ご参照ください。


170330omok03.jpg

出典:総務省ホームページ(通信利用動向調査)


インターネット利用率の全体としては83%。利用率のトップは56.8%のパソコンですが、スマートフォンが54.3%と非常に僅差まで追いついています。そしてタブレットが18.3%。スマホとタブレットを同軸に考えると、手軽にインターネットにアクセスできる端末の強さが伺えます。

おそらく子どもの場合、パソコンに向かって情報を調べるといった時間よりも、スマホやタブレットで調べるといったシーンの方がさらに多いことでしょう。その中であえてキラキラマウスカーソルを蘇らせたデザインの理由はなんなのか? しばらく考えてみたのですが、やはり僕にはひとつの答えしか出てこないのです。すべては閲覧者(子どもたち)に喜んでもらうため。

東映アニメーションの『キラキラ☆プリキュア アラモード』のWebページを見ると、プリキュアが飛び出てくるような動きのあるエフェクトが加えられています。この動きによる「楽しさ」感の演出は、やはり2008年の『Yes! プリキュア5GOGO!』から始まりましたが、やはりプリキュアのターゲットたる女児たちに見せるコンテンツとなると、見ているだけでも楽しい特別な体験である必要があるのではないか?と思うのです。

キラキラマウスカーソルは古臭い表現手法のひとつで、きっと大人であれば邪魔に感じる人が多いでしょう。しかし、3歳〜5歳といったプリキュアに興味を持った世代が、親と一緒におもちゃページを見る。ひょっとしたら誕生日プレゼントを選んでいるのかもしれません。そういったシーンで彼女たちの目に飛び込む情報としては、キラキラとした動きのレイヤーが加わっている方が、より効果的ではないか?と。

最初は古い友人に再会した気分でした。しかし、古い!懐かしい!というだけでなく、デザインにある意味を探り、想像する。その結果、僕としてはターゲットを正しく見据えているこのサイトは理に適ったデザインなのだ!という結論に達したのです。今後、もし僕が子どもに向けたサイトを作ることがあったら、こういった視覚から伝わる「動き」や「楽しさ」を意識したいと思います。

なお、スマホ版のサイトも見たところ、スクロールすると画面右端にペコリンがヒョコリンと登場し、スクロールに追随してこちらをじいっと見つめてきます。彼(彼女)をタップするとページトップにジャンプできるギミックがあるので、そちらもぜひお楽しみください(ちょっと邪魔)。


image: Photo AC, ©ABC-A・東映アニメーション via 『キラキラ☆プリキュア アラモード』, © 2009 Ministry of Internal Affairs and Communications All Rights Reserved. via 総務省「通信利用動向調査」
source: 『キラキラ☆プリキュア アラモード』(バンダイ), 『キラキラ☆プリキュア アラモード』(東映アニメーション) ,『Yes! プリキュア5GOGO!』 ,『魔法つかいプリキュア』 ,『GO!プリンセスプリキュア』 ,平成28年版 情報通信白書, 総務省「通信利用動向調査」
reference: YouTube1, 2

(キュアコグレ)