最近のドル円相場は大きな変動もなく、企業が想定する範囲内で推移している。そのため、2月の為替関連倒産も低水準で推移したようだ。

 ドル円相場をみると、2016年6月にイギリスの国民投票が欧州連合(EU)のからの撤退を決めたことで、為替相場は1ドル99円台まで急速に円高が進んだ。その後もしばらく円高傾向は継続したものの、アメリカの大統領選挙でトランプ氏が勝利した頃から円安傾向となり、一時は1ドル118円台まで円安が進んだ。しかし、その後は再び円高傾向となり、3月27日には約4カ月ぶりとなる110円台の安値をつけた。

 こうした中、東京商工リサーチは3月8日、「為替関連倒産 2月」を発表。2月の円高関連倒産は1件(前年同月0件)で2カ月ぶりに発生、円安関連倒産は3件で前年同月の14件を大きく下回った。企業倒産の沈静化が続く中、為替変動の大きな振れが目立たなくなっていることから、為替関連倒産も低水準で推移したようだ。

 東京商工リサーチは同日、東証に上場するメーカー72社(※)を対象に調査した「第4四半期 想定為替レート」を発表した。2017年3月期決算の第4四半期の対ドル相場について、「1ドル=110円」を想定した企業が32社(構成比44.4%)で最も多く、以下、「1ドル=105円」の9社、「1ドル=115円」の6社、「1ドル=108円」の5社が続いた。最も円安に想定したのは「1ドル=118円」の1社で、最も円高だったのは「1ドル=100円」の4社だった。また、想定為替レートを期初と比較すると、「期初の110円と変わらず」が17社(構成比23.6%)で最も多く、以下、「105円から110円に変更」の8社、「期初の105円と変わらず」「110円から100円に変更」の4社が続いた。

 今年に入ってからの為替相場は、企業が想定する範囲内で推移しているが、アメリカの経済政策や金融政策の行方によっては大きく変動する可能性がある。急激な為替相場の変動は企業業績に大きな影響を与えるだけに、今後の行方には注目しておく必要がありそうだ。

※ 調査対象は東京証券取引所一部と二部に上場する3月決算の主な電気機器、自動車関連、機械、精密機器メーカーのうち、2017年3月期決算の業績見通しで第4四半期(2017年1月以降)の想定為替レートを記載した72社。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]