9年連続で『NHK紅白歌合戦』出演を果たし、最新鋭の映像技術と音楽、何よりも3人の卓越したダンスパフォーマンスで国民的、世界的にも知られるようになったPerfume。「かしゆかです、あ〜ちゃんです、のっちです。3人合わせてPerfumeです!」の挨拶はあまりにも有名だ。

 普段はアーティストとして活動するPerfumeが、スペシャルドラマ『パンセ』(テレビ東京系)で初の主演を務めた。3月31日、4月1日の2夜連続で放送される、このドラマの前編放送後。胸に抱いたのは、Perfumeのライブを観終わった後のあの感触。押し付けでない、心にほんのり優しく、彩りを与えてくれるような気分であった。

 建設会社に勤務するOLの「どんちゃん」(あ〜ちゃん)、実家の乾物卸屋で経理の手伝いをする「おかみど」(かしゆか)、子供服のリサイクルショップで働くフリーターの「のりぶう」(のっち)。小学校の時に帰り道が一緒で仲良くなった三人の女の子が、非日常を求めて、洋館を買うことになる。だが、その物件には大きな落とし穴として“ひきこもりのオッサン”、樺山力丸(勝村政信)が住んでいた。オッサンと3人の女の子の摩訶不思議な生活が始まる、というのが大まかなストーリーだ。ドラマの中と現実の3人とでは、もちろん立場は違う。けれど、ドラマの中での彼女たちは限りなく“Perfume”に近い。あ〜ちゃんは驚くほどに普段のまま、広島弁全開である。もし彼女たちがPerfumeじゃなければこんな感じなのでは、と思わせるほどに、素の空気感のまま物語は進行していく。

 脚本を手掛けたのは、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『Q10』(日本テレビ系)などの作品で知られる木皿泉。プロデューサーは、『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系)を担当した阿部真士だ。阿部は、当サイトの取材記事(http://realsound.jp/movie/2017/03/post-4585.html)にて「たとえば女優さんを立てるとなると、どうしても誰かが主人公になってしまうけれど、彼女たちなら全員が主人公でいられます」とコメントしている。Perfumeがメジャーデビューしたのは、2005年の頃。アクターズスクール広島でのグループ結成が2000年なので、彼女たちは17年来の幼馴染の仲となる(のっちは翌2001年に加入)。Perfumeの大きな特徴の一つに、ソロ活動が極めて少ないことが挙げられる。2014年、あ〜ちゃんがパーソナリティーを務めたラジオ番組『あ〜ちゃんのただただラジオがスキじゃけん。』。今年、Perfumeが主題歌を務めた『東京タラレバ娘』内で、CGキャラクター「レバ」の声優をあ〜ちゃんが担当したのみで、ほかに目立ったソロ活動は存在しない。ダンスパフォーマンスにおいても3人の立ち位置は変わり、ポジションは固定されていない。その経歴、関係性をなぞるようにドラマは、3人がフレームインしたまま進んで行く。

 阿部への取材インタビューや公式サイトでのスタッフのコメントからひしひしと伝わってくるのは、熱い“Perfume愛”。それが、劇中で存分に溢れているのはドラマ冒頭に流れるオープニング映像だろう。Perfumeがこれまで発表した楽曲を中心に、広島インディーズ時代の「OMAJINAI☆ペロリ」。「スウィートドーナッツ」「チョコレイト・ディスコ」「マカロニ」「VOICE」、近未来三部作と言われる「リニアモーターガール」「コンピューターシティ」「エレクトロ・ワールド」。これ以上挙げていくとキリがない……というほどに楽曲をイメージしたオブジェが無数に置かれている。Perfumeの3人を深く理解し、制作していったことが映像の数十秒で手に取るように分かる。

 レストランで幼少期を回想しながら洋館購入を企てる3人、料理の準備をする3人が煮干しを割きながらするたわいもない会話や、シャボン玉に囲まれながら庭ではしゃぐ3人など、ほっこりするシーンも随所に存在する。中でも、一番印象的だったのは終盤、長年家にひきこもり自分に自信をなくした力丸に、どんちゃん(あ〜ちゃん)が優しく話しかけるシーンだ。「俺はババ抜きのババだから」とつぶやく力丸。どんちゃんは「そうじゃないよ」と力丸と同じ目線に立ち、「(力丸は)全てを持っているじゃない」と相手を肯定する。そこに、のりぶう(のっち)、おかみど(かしゆか)が「私も!」と賛同していく。緩くも奥深いこの関係は、PerfumeのライブでのMCと全く一緒だ。飾らない等身大のあ〜ちゃんの幸せの在り方に、ライブに訪れたファンが感化されていく。Perfumeの3人の関係性を芯まで深く捉えた、Perfumeの3人にしか出来ない役である。『パンセ』は、かしゆか、あ〜ちゃん、のっち、“3人合わせてPerfume”なのだと改めて実感させてくれる作品だ。(渡辺彰浩)