第11話で、大杉漣が刺されてエンドというとんでもない展開を見た時から、良くも悪くもとんでもない最終回を見せられるだろうな……とは予想していたドラマ『バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら』(テレビ東京・金曜24:12〜)。

しかし実際の最終回は、予想していたハードルすらもスポーンと越えて、すんごい領域に突入していきやがった。

こんなドラマ見たことないよ! ……というか、コレはドラマなのか!?


夢オチ+ドッキリというドトウの展開


芸能界のドンから言われるがままに、思いっきりエンタメ路線に方向転換した新『バイプレイヤーズ』を作り、大ヒットを記録したものの、元々の監督だった鬼屋敷に刺されてしまった大杉漣。

それから一気に時間は飛んで10年後。

そこには役者魂をなくし、ただのじーさんと化したバイプレイヤーズ6人の姿が……というのは全部大杉漣の夢だった。

ここまで引っ張って、まさかの夢オチ!

「11話から12話ってさ、CMも含めてずっとアレかな? そのくらい近く寝てた、オレ?」

という、いきなりのメタ発言にも驚かされたが、週をまたいでの夢オチってアリなのか!?

とにかく夢の中での失敗も踏まえてか、ドンからの要求を突っぱねて、自分たちの撮りたかった『バイプレイヤーズ』を完成させる道を選んだ6人。

……となると当然、ドンはお怒りで、怪しげな倉庫に全員呼び出されてしまう。

目の前で岡田将生が血祭りにあげられ、次は6人の番か……と思われたが、それは映画のラストシーンを撮るために鬼屋敷監督が仕組んだドッキリだった。

ドッキリ!

「もし撮るなら画期的なラストでなくちゃいけない。そこで私が思いついたのが6人の本気の姿を収めるという方法でした」

大杉漣の別荘からフィルムが盗み出したところからはじまって、……要は第一話から、ずーっと鬼屋敷監督のドッキリが並行で進行していたということだ。

6人を観察しているだけで楽しいドラマだった!


現実世界でのバイプレイヤーズ6人の上に、薄皮一枚乗っけた感じで、本作におけるフィクションの設定がかぶせられ、ちょこちょこ現実とフィクションがクロスオーバーしながら進行してきたこのドラマ。

しかし最終回では、その現実+フィクションの上に、ドラマ中の妄想設定、ドラマ中のドッキリ設定、という「フィクションの中のフィクション」が乗っかってきた上に、それが時系列グッチャグチャに入り乱れてややこしいことこの上なし!

そんなややこしい設定が、緻密にくみ上げられているかというと、完全に破綻している部分も多数目に付いて、ドラマの脚本としては正直完成度が高いとはいいにくい。

しかし見終わった時、妙に満足感でいっぱいになってしまうのは、6人の名バイプレイヤーズの力量と、その魅力を最大限に引き出す仕掛けのおかげだったと言えるだろう。

こんなシチュエーションに6人が置かれたらどんな演技をするのか? 様々な状況での6人の「演技」自体が見どころ。

そういう意味ではやっぱりアイドルドラマなんだよなぁ。6人の姿を見ているだけで楽しい!

もしくは『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』における「探偵物語」コーナーだろうか。

加藤茶と志村けんが、加藤、志村役で出演していながらも、完全にフィクションのストーリーが展開され、かと思えば小泉今日子やシブがき隊など、現実の豪華ゲストが登場したり……。

特に、最終回の壮大なコント感は「加トケン」っぽかった。

なんだよ、この最高のおじさんたちの修学旅行は


ものすごくトリッキーなストーリー構造以外にも、細かい名場面がたくさんあった最終回。

大杉の夢の中で展開された、老人ホーム状態となったシェアハウスでの6人のおじーちゃんっぷり。やたらと気合いの入りまくった、池松壮亮、岡田将生、天海祐希というゲスト陣。さらに、映画のラストシーンが、ドラマのラストシーンとリンクしていたあたりもグイグイッと胸をつかまれた。

しかしやはり、クライマックスは「6人のシェアハウス最後の夜」だろう。

芸能界のドンから呼び出されて、最悪殺されるかもしれない……という6人が、最後の夜にやったのは、みんなでリビングに布団を敷いて一緒に寝ること!

明日ヤバイことになるかもしれないのに、あふれかえる修学旅行感で妙に浮かれてしまう6人。

「ねえ、漣漣。漣漣は、ボクのこと好き?」

からからはじまって「オレのことも好き?」「オレはどうですか?」「誰が好きか手にタッチして」……なんだこのおじさんたち! 制作スタッフの確信犯的セリフがぶっこまれまくりだ。

そこから流れるように、まくら投げ大会に突入することも含め、最終回まで付き合ってきて視聴者への最高のサービスシーンだった。

現実まで含めてミラクルなドラマ体験でした


ドラマ終了後、いつも行われていた「バイプレトーク」……っぽいシーンも最高だった。

いつものように乾杯からはじまって、フリートーク(っぽい)会話を繰り広げる6人。そこに、ずっと心待ちにしていた役所広司が登場!

6人の会話までは当然、脚本があったのだろうが、役所の登場はリアルにドッキリだったんじゃないだろうか(……と思いたい!)。

いつもの「バイプレトーク」中は後ろをウロウロして映り込んでいたスタッフが、今回は逆に不自然なくらい映っていなかったのに、役所が登場してからは平気で映り込んでしまう感じがまた……。

第10話まで、ドラマ後にノンフィクションパートである「バイプレトーク」をやってきたことによって、最後の最後まで現実とフィクションの境目を曖昧にして終わりやがった!

さらに放送日が4月1日、エイプリルフールということで、以前コラボしていたアニメ『おそ松さん』のサイトは「バイプレイヤーズのキャストで実写化します」ネタ仕様に。

ドラマ間には『OSOMATSUSAN春の全国大センバツ上映祭』のCMが入るし、ドラマ終わりには松重豊主演の『孤独のグルメ season 6』の予告が入るし……。

さらにいえば、次の番組がperfumeの3人が共同生活をするという女版『バイプレイヤーズ』っぽいドラマだったりと、ドラマ中の現実&フィクションだけではなく、現実世界でも虚実入り乱れまくりで、番組が終わってからもなかなか現実に戻って来れなくてボーッとしてしまったよ。

そんなこんなを全部ひっくるめて、とってもミラクルなドラマ体験でした!

とりあえず「このメンバーにまた会いたい!というご要望はテレビ東京まで」ということなので、みんなで要望を出しまくろう。
(イラストと文/北村ヂン)