厚労省の調査(2014年=人口動態統計)によると、急性心筋梗塞の発症者は年間19万6000人で、うち3万7000人が死亡している。
 その症状は、ある日突然、胸部あたりに激痛を覚え、そのまま倒れ込んでしまうもの。心臓から全身に血液を送り出している血管(冠動脈)に、血の塊が詰まっている状態だ。
 「急性心筋梗塞は、心臓を取り巻き酸素や栄養を送り込む3本の冠動脈のいずれかが詰まり、血流が減って、その先の心筋が壊死してしまう病です。はじめに心臓が締めつけられるような激しい痛みが起き、それが肩や上腹部、左腕などにも広がって30分以上続く。息苦しくなり、冷や汗や悪寒、発熱を伴うこともあります」(専門医)

 ただ、糖尿病や高齢者の場合は、痛みを脳に伝える神経が異常をきたし、無痛のケースもあるという。
 「前触れとして、喉のひきつれ、左肩や胃、奥歯、顎の痛みなどの前触れがあるとも言われますが、すべてがそうなるわけではない。また、発症時の平均年齢は男性が65歳、女性は75歳ですが、近年は30代以降でも注意が必要なのです」(同)

 専門家の間では「がんよりも怖い」と言われる急性心筋梗塞。理由は手当てする時間的な余裕もなく、そのまま死亡する可能性が高いからだ。実際、発症1時間以内に半数以上が死亡する。その原因のほとんどが、心室細動と呼ばれる不整脈の一種だ。
 不整脈は、心臓の筋肉(心筋)を収縮させる“発電所”となる「洞結節」からの電気刺激の不具合の総称で、心室細動はその一つ。
 「心室が小刻みに震え、全身に血液を送ることができない状態です。心臓の拍動が停止状態の心停止から1分以内であれば、90%以上の確率で心臓は蘇生されますが、5分を過ぎると50%以下に急落する。119番通報して救急隊員が到着するのに平均8分ほどかかる。そのため、普段から病院や消防署などが主催する講習会で人工呼吸や心臓マッサージなどの蘇生術を学んでおくことが大切になってくるのです」(同)

 いずれにせよ、発症者が倒れてから1時間以内に病院に搬送することが、生き残るための絶対的条件になる。
 「発症から2時間以内、遅くとも6時間以内にカテーテルで冠動脈を広げる治療をすれば、少なくとも死亡率を下げることは可能です。搬送された患者さんの病院内での死亡率は、2週間以内は5%以下と言われ、病院に到着さえすれば助かるチャンスが膨らみます」(健康ライター)

 予防としては、日頃から心筋梗塞のリスクを高める生活習慣病(高血圧、肥満等)の治療、暴飲暴食のストップ、バランスの取れた食事の摂取などに励むのは当然だが、重要なのは狭心症を避けること。