Doctors Me(ドクターズミー)- 花粉症対策にビタミンD有効説!? 免疫機能に必要不可欠な働きとは

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花粉症にはヨーグルト、納豆などと言った様々な対策が挙げられております。

実は、花粉症対策に有効と考えられている栄養素として「ビタミンD」が挙げられておりますが、どのような作用があるのでしょうか。

今回は花粉症にビタミンDが有効な理由、ビタミンDの効果、ビタミンDを増やす生活習慣や食べ物を医師の建部先生に解説していただきました。

花粉症にビタミンDが有効と考えられる理由


免疫機能を活性化


人体を構成する細胞において、特定の物質のみを受け取る受け皿役となる細胞内タンパク質の一種「受容体」が存在します。特定のタンパク質やホルモン等がくっつくと特異的な作用を示します。

ビタミンD受容体は、単核白血球、活性化T細胞、B細胞を含む白血球でも作用しており、リンパ球などの免疫担当細胞にもビタミンD受容体が存在しています。

活性型ビタミンDが結合してできたビタミンD受容体結合体は、体内に侵入してきた異物を確認、排除するNK細胞の活動と、マクロファージの食作用、免疫機能の活性化させます。

逆に活性型ビタミンDが欠乏すると免疫バランスが崩れ、通常ではない異常な免疫反応を生じ、結果花粉症でありアトピー性皮膚炎、喘息を発症することが考えられます。

抗菌作用


同じビタミンDであっても活性型ビタミンDは、体内に侵入してきた細菌、ウイルス、カビ類を検知・活性化されるマクロファージの内部で、抗菌作用のある特殊なアミノ酸複合体も増やします。

また、発生、恒常性、代謝など、生命維持の根幹に係わる遺伝子転写に関与していることがわかっています。

少なくともここで言えることは、ビタミンDは、免疫反応などへの関与も示されることから「免疫調整ホルモン」とも言えるという点です。

花粉症に対するビタミンDの効果はまだ研究段階


しかし、一定量以上のビタミンDを摂取することで、花粉症の症状が緩和するかどうかは今のところ疫学的に人において確かめられておらず、花粉症状が緩和される正確なメカニズムも解明されていません。

研究レベルでは一定の効果が認められ、暫定的なメカニズムが考えられているという現状であるため、過度な期待は厳禁です。

ビタミンDの効果


腸からのミネラル吸収の促進


体内で必要とされるものの、発汗や代謝で喪失しやすいカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラルを腸管から積極的に吸収する働きがあります。

特にビタミンDは、小腸の腸粘膜細胞の絨毛を介してカルシウムを吸収する際に、吸収量増加につながるカルシウム結合タンパク量を増やす働きがあります。

カルシウム喪失抑制、血中カルシウム濃度維持


腎臓の機能によって起こるカルシウムの血中から、尿への移動による喪失を抑制し、濃度を厳密に維持することで、カルシウムによる細胞膜の安定化、染色体の構造維持、2次メッセンジャーとして細胞内の情報伝達の働きを円滑化させます。

骨形成や骨のカルシウム、マグネシウム吸収の円滑化


活性型ビタミンDはカルシウム、リンの吸収をすすめて骨のカルシウム沈着を促し、くる病、骨軟化症、骨粗しょう症など発生を抑制します。

カルシウムはそのままでは体内に吸収されにくい成分であり、ビタミンDにはそのカルシウムの吸収を助ける効果があります。

細胞分化誘導


ビタミンD受容体は、細胞増殖、分化に関連しており、他のステロイドホルモンと同じく、細胞内の核にあるビタミンD受容体にビタミンDがくっつくとその結合体が正常な細胞への分化を誘導します。

ビタミンDが不足した場合、あるべき細胞の分化、誘導がおこらないため様々な疾病や身体の機能異常の原因になり得ると考えられます。

ビタミンDの摂取目安


日本人のビタミンD摂取目安


■ ビタミンDの摂取目安量
・5.5μg(200 IU)/日

■ ビタミンDの摂取上限量
・50μg(2000 IU)/日

■ ビタミンDの平均摂取量
・成人男性:8.9μg/日
・成人女性:7.5μg/日

上記の値は太陽光を浴びて合成された値を含めての平均総量です。

ビタミンDの摂取の注意点


■ サプリメントの過剰摂取
ビタミンDの摂取方法には、食品・日光曝露・サプリメントの3通りがありますが、ビタミンDによる有害性はサプリメントの過剰摂取で現れているので、これに十二分な注意が必要です。

■花粉症対策の摂取目安は未解明
ビタミンDに花粉症状の緩和効果があるとした場合、1日あたりどの程度の摂取量で効果を示すかは今の所、医学的に公のデータとして存在していないことを頭に入れておいてください。

花粉症の症状を緩和するビタミンD摂取量について、科学的・医学的にはっきりした知見が新たに示されるまでは、ビタミンD摂取過剰による健康障害にならない現状のビタミンDの1日の上限量(50μg(2000 IU)/日)以内にとどめる必要があります。

■ 日光曝露を避けてはいけない
海外の潜水艦の乗組員に対する調査では400 IU/日のビタミンD摂取であっても、血中濃度を適切に維持できないとの報告があります。

日光浴による紫外線暴露と影響を心配して過度に避けると、サプリメントや食事でビタミンD摂取を行っても、血中ビタミンD濃度を適切に維持できない可能性が高いと考えられます。

《参照》
厚労省 平成27年「国民健康・栄養調査」

ビタミンDはインフルエンザA型ウイルス感染抑制効果も?


冬季の日光暴露量低下によって、人の体内でのビタミンD生合成の減少する状況は理論上、冬季におけるインフルエンザウイルスの高い罹患率を説明できる可能性がありました。

しかし、冬季のインフルエンザウイルス感染が流行するのは、ビタミンD生合成の減少以外の要因(外気の乾燥や低温・日照殺菌低下など)を排除できなかったため、感染抑制効果はこれまで懐疑的でありました。

アメリカで行われた研究


2010年3月に学生を対象とした疫学試験(無作為抽出・二重盲検法・プラセボ対照試験)が行われた研究がアメリカ合衆国の臨床栄養ジャーナルに発表されました。

結果、冬季に毎日30μg(1200 IU)/日のビタミンD3を摂取した学生群は、プラセボを摂取した学生群に比べて、42%も季節性インフルエンザA型ウイルスに罹患する率が低かったと発表しています。

東京慈恵医大が行った実験


東京慈恵医大が2008年12月〜2009年年3月までのインフルエンザ流行期に、6歳から15歳の子ども334人を対象に行った実験で、プラセボ群に比べ、ビタミンD(1200 IU)のカプセルを投与したグループのインフルエンザ発症率が低下したことを発表しました。

今少し追加の検証や疫学調査が必要と考えられますが、2つの試験結果からビタミンDの適量摂取で一定のインフルエンザウイルス感染抑制効果が期待できそうだ、とは言えそうです。

《参照》
・The American Journal of Clinical Nutrition

ビタミンDが不足するとどうなる?


ビタミンDが不足する要因として、以下のようなことが挙げられます。

ビタミンDが不足となる要因


・日照不足
・日光浴不足
・過剰な紫外線対策
・ビタミンD吸収障害
・肝障害や腎障害

ビタミンD3が欠乏すると、カルシウム、リンの吸収が進まず、カルシウム沈着障害を引き起こし、以下のような疾患を発症する場合があります。

ビタミンD不足によって懸念される疾患


・くる病
・骨軟化症
・骨粗しょう症

他にもあるビタミンDと関連する疾患


最近の研究において、多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患(パーキンソン病や認知症)などにおいてビタミンD低値が示され、ビタミンDが不足していることがわかってきました。

疫学的な調査でも、統計的に上記疾患とビタミンD低値において関連があることが示されてもいます。

しかし、ビタミンD低値が疾患を引き起こしているのか、逆にこれらの疾患がビタミンD低値を引き起こしているのか、実のところはっきりとした結論が出ておらず、今後のさらなる研究の成果が期待されるところです。

少なくとも不足しているのであれば、食事に加えてビタミンDサプリメントや野外活動での日光曝露により、ビタミンDの一定量の補充が必要と考えられます。

ビタミンDを増やす生活習慣や食べ物


ビタミンDを多く含む食材


■ 魚介類
・鮭
・ヒラメ
・太刀魚
・さんま
・イワシ
・サバ
・あんこうの肝
・イクラ
・マグロのトロ
など

■ きのこ類
・キクラゲ
・舞茸

■ 卵
卵黄の部分中心にビタミンDが含まれますが、卵白にはまったく含まれていません。

■ ビタミンDと脂肪の関係
食材からビタミンDを摂取する場合はビタミンDは脂溶性ビタミンの1つであります。

調理の過程で飽和脂肪酸か不飽和脂肪酸かは関係無く、ほどほどの脂肪を含む食材と、ビタミンDを多く含む食材を一緒にするとビタミンD摂取効率は高くなります。

また、よほど大量に食べない限り、食事でビタミンD過剰症はまず起こりません。

サプリメント


食事のほかに用法や用量をきちんと守って、適量のビタミンDサプリメントを摂ることも体内へのビタミンD供給になります。

太陽光を浴びる


野外活動(毎日の散歩や通勤など)で太陽光を浴びることで、紫外線がコレステロールを変化させ、体が必要とするビタミンDの半分の量程度までをまかなえます。

紫外線暴露の皮膚への影響(特に女性は顔面のシミなど)が懸念されるため、顔面などには紫外線対策用の日焼け止めクリーム等の外用の上で週2回以上、30分弱の日光浴が望まれます。

最後に建部先生から一言


ビタミンDは、最近になって体に対する効果・効能について再評価・再検証をされている栄養素の一つです。

現時点で、これまでには考えられなかった多彩な効果や効能、それを裏付ける分子生物学的な機序などが解明されつつあります。

近い将来、さらに科学的・医学的データが蓄積されその新たな全体像を私たちの前に現してくれることでしょう。

(監修:医師 建部雄氏)