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極貧のデビュー前から世界的スターとなったエド・シーラン


2011年発表のデビューアルバム『+ / プラス』は全世界で400万枚以上、2014年発表の『x(マルティプライ)』は1000万枚以上のメガヒットを記録。3月3日にリリースされた3枚目のアルバム『÷(ディバイド)』は全英全米のみならず、各国のチャートで初登場1位に輝いたエド・シーラン。


今や世界を代表するシンガーソングライターのひとりとなったエドだが、デビューする前は特定の住居を持たずに友人宅やファンの家に泊めてもらうというホームレスミュージシャンだったという経歴ももつ。苦境からどう這い上がり、スターダムへと上り詰めたのか? これまでの彼の歩みと音楽から突きつめていきたい。


 


ホームレス生活をしながらライブ活動を続けていた10代


エド・シーランは1991年にイングランド北部のハリファクスで生まれ、すぐにイングランド東部のフラムリンガムへ転居し、音楽の勉強のためにロンドンに出る16歳まで過ごす。卒業後、たちまちお金に困ることになり、家賃が払えなくなった彼は仕方なしに路上生活に。


あるときはバッキンガム宮殿の門の近くで横になり、あるときは早朝からずっと地下鉄に乗って寝たりしながら、ライブをやることだけは続けてきたそうだ。徐々にそのパフォーマンスが評判を呼んで名前が知られるようになるなか、自主制作のシングルも制作。


2010年には一念発起してロサンゼルスに渡る。LAでも彼のライブは好評で、その評判を聞きつけて、俳優でミュージシャンのジェイミー・フォックスが自身のラジオ番組にエドを出演させ、さらに彼はハリウッドにあるレコーディングスタジオが付いた住居を提供。


エドの可能性を見出したジェイミーのバックアップのもと、2011年にメジャーレーベルと契約。6月にメジャーデビューシングル「Aチーム〜飛べない天使たち〜」をリリースし、いきなり全英3位、全米16位のヒットとなり、ここからエドの快進撃が続いていく。



ミュージックビデオ(以下、MV)に登場するホームレスの女性とその生活というのはエドの実体験を映し出したもので、後半のシーンはロンドンのショッキングな情景を描いている。そんな救いようのないドラマの背景で普遍的なメロディが流れていく。歌われている内容も残酷なまでにリアルだ。


 


LAで見出されメジャーデビュー。テイラー・スウィフトとの出会いも


続く、2ndシングル「ユー・ニードゥ・ミー・アイ・ドント・ニードゥ・ユー」も自分の音楽に対するスタンスを、跳ねるようなリズムで挑発的に歌っていく。キャッチーなメロディと等身大のリアルな歌詞。そんなブレイクするアーティストの必要不可欠な要素をしっかりと押さえているのはもちろん、どの曲も心に残る巧みなソングライティングのスキルもエドには備わっている。


そして、路上にいたからこそ見えていた光景を生々しく描いた歌詞の世界に、多くの人たちが惹き込まれたのだと思う。そんなエドのファンのひとりで、親友でもあるのがテイラー・スウィフト。2013年にはテイラーのツアーでオープニングアクトも務め、同じステージにも立つなど、エドのアメリカでの人気の立役者となったのがテイラーだった。


まさに順風満帆なスタートを切ったエドは、2014年発表の2ndアルバム『x(マルティプライ)』で、さらに上のステージへ駆け上がる。アップテンポな曲もメロウな曲も、さらにキャッチーに。サウンドの厚みや幅も広がり、確かな成長を印象づける作品となった。


翌2015年には8万人収容するロンドンのウェンブリー・スタジアムで3日間の公演をソールドアウト。計24万人を動員したこのライブで、名実共に世界のトップアーティストの仲間入りを果たしたのだった。


 


世界的アーティストとなるも、休養を発表して世界ひとり旅へ。復帰後すぐに……


しかし、『x(マルティプライ)』のツアーが終了した後、エドは休養に入り、半年近くにわたって世界各国をひとり旅に出る。巡った国は20ヵ国ほど。そのなかでも日本にいちばん長く滞在したそうだ。


音楽と離れて充電したあと、今年3月3日に待望となる3枚目のアルバム『÷(ディバイド)』を発表。その新作が発売されるやいなや、全英チャートのトップ40内に16曲がランクイン。トップ10位圏内には1位を筆頭に3位、4位、6位、7位、8位、9位に7曲が入るという前代未聞の事態となった。


先行シングルとなった「シェイプ・オブ・ユー」はR&Bの影響下にあるリズミカルなナンバー。もうひとつの先行シングル「キャッスル・オン・ザ・ヒル」は疾走感溢れるロックチューンと、異なるふたつのタイプの楽曲が先に届けられたことで、アルバムへの期待は否が応でも高まっていった。


ちなみに「キャッスル・オン・ザ・ヒル」のMVは、今エドが住む地元フラムリンガムが舞台で、歌詞の内容もフラムリンガムで過ごした日々のことが綴られている。




筆者は今年1月末にプロモーションで来日していたエドにインタビューで会ったが、人懐っこくてお喋りという予想していたイメージと違って、しっかりとこちらの話を聞いてきれて落ち着いた語り口で話してくれたことが印象的だった。


テレビ番組にも多く出演し、超過密スケジュールだったにも関わらず、スーパースターにありがちなわがままぶりも見せずに、求められることにきちんと対応する。しかも自然体で。そんなボーイネクストドア的な佇まいもエドの魅力なんだな、と気付いたのだった。


すでにワールドツアーがスタートしており、現時点で10月まで英国、ヨーロッパ、南米、北米での公演が決定している。エドのウェブサイトのライブスケジュールには“ASIA”というカテゴリもあり、おそらくは年末、来年早めの来日が期待できそうだ。


各国で行われる数々のライブ経て、世界の中でもひときわお気に入りの日本にまた戻ってきてくれる。そんな日を『÷(ディバイド)』を聴きながら心待ちにしていたい。


TEXT BY 油納将志(British Music in Japan)



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