ヒッチコックの名作「鳥」の絵コンテと場面写真 (C)2015 ADAMA FILMS All Rights Reserved.

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 1960年代以降のハリウッド映画で、絵コンテと映画リサーチを担当した職人夫婦を追ったドキュメンタリー「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」の公開を記念し、本作に出演している絵コンテ作家ハロルド・マイケルソンが手がけた、「十戒」「鳥」「卒業(1967)」絵コンテの一部が公開された。

 映画はかつて、ハリウッドでナンバー1の絵コンテ作家と言われたハロルドと、映画リサーチャーだった夫人リリアンがハリウッドを歩んだ人生に迫るドキュメンタリー。

 映画製作における絵コンテとは、監督や撮影監督が考えているイメージをスタッフ全体に伝える設計図で、これをもとに映画が作られていく。絵画で演出するため、カメラの視点で見るセンスが必要な領域だ。分業制が進んでいるハリウッドでは、専門の絵コンテ職人が存在し、有名監督作品の名シーンが、実は名もなき絵コンテ作家から生まれたという事実も少なくない。

 このほど公開されたハロルドが手がけた絵コンテは、「十戒」(56)でモーゼが海を割り奇跡を起こすシーン、ヒッチコックの「鳥」(63)で逃げ惑う生徒たちを鳥が襲うシーン、「卒業(1967)」のエロティックな脚線美をつかった誘惑シーンで、いずれも映画史に残る名シーンだ。

 本作を手がけたダニエル・レイム監督は、ハロルドの偉業について「ハロルドの絵コンテに本当に驚かされたのは、それらテクニカルな情報が記載されていることでなく、彼が描いた絵コンテは映画史上最高のショットと言われている数多くの名シーンより先に描かれていたこと。ヒッチコックの『鳥』と『マーニー』ではヒッチコックが脚本を書き上げる前に、ヒッチコックのイメージを絵コンテとして可視化していました。撮影監督の巨匠ロバート・サーテースは、『卒業』でハロルドの絵コンテをなぞるように全てのシーンを撮影した」と紹介。そして、「ハロルドは、100作以上のハリウッドの名作に映画的な知恵を与えるも、その多くの仕事にクレジットされることはありませんでした」と語っている。

 「ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー」は、5月27日からYEBISU GARDEN CINEMAほかで公開。