昨年は「広島特需」で沸いたセ・リーグ。今年の注目点、そして注目選手は誰なのか? TBSラジオ(AM954・FM90.5)「エキサイトベースボール」戸崎貴広アナ、文化放送(AM1134・FM91.6)「ライオンズナイター」松島茂アナ、ニッポン放送(AM1242・FM93)「ショウアップナイター」師岡正雄アナのお三方に、今年のプロ野球セ・リーグの注目点を語っていただく。
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広島東洋カープ×阪神タイガース(@MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)


─── セ・リーグ編、まずは去年の優勝チーム広島と阪神の対戦について。開幕投手は広島がジョンソン。阪神がメッセンジャーです。
松島:広島はやっぱり「黒田ロス」がどれくらい出るか。
戸崎:でも10勝でしょ、去年。広島はジョンソンと野村祐輔も健在だし、後ろのヘーゲンズもいるし。
松島:数字的な影響よりも、数字以上のものがどれだけあるかですよね。でも、確かに去年はジョンソンと野村二人だけで貯金が21もありました。
師岡:それが出来すぎっていう感もあるけどね。ただ、ヘーゲンズが前に行くって話もあります。あとは岡田明丈がいいのと、大瀬良大地が戻ってきたのも大きい。
松島:ドラ1の加藤拓也も頑張ってますよね。あとは、福井優也がどうか
戸崎:そうそう。福井が大事なんですよ。去年、緒方監督がキーマンは大瀬良、と言っていた中で故障離脱してしまって苦戦していた中でよく優勝したんですけど、大瀬良と福井が良ければ投手陣の厚みは増します。
師岡:畝投手コーチも、黒田がいなくなった分を大瀬良、福井、それから九里亜蓮で埋めたい、と名前を出していました。その3人でどうやって上積みを作っていくか。
松島:打つ方に関して心配なのはエルドレッド。オープン戦は打率1割を切ってしまいましたね。ただ、シーズンになれば戻るでしょうし、新外国人のラミロ・ペーニャがいいですよね。
戸崎:ペーニャはいいねぇ。去年、ルナが結構貢献していたと思うんですけど、そのルナがいなくなってしまって。そこをペーニャがどう埋めるか。
師岡:そうですね。あと、バティスタって新外国人もいます。そして打線で注目は打席に集中するために外野に転向した堂林翔太。
戸崎:奥さん(元TBS・枡田絵理奈アナ)のこともあるし、堂林は使われて欲しいんですけども。ただ、打線に関してはWBCでも活躍した田中広輔、菊池涼介、鈴木誠也がいて、丸佳浩もオープン戦好調。タナ菊丸はもう固まってますからね。新井貴浩を代打にするために堂林が頑張らなきゃいけないけど。ちょっと守るところがない。二連覇、ありますか?
師岡:可能性はあると思うけどね。黒田の抜けた分を大瀬良や福井がしっかりカバーできれば、打線のマイナス要素はオープン戦でエルドレッドが打てていないとか、それくらいしかない。
─── 対する阪神は?
戸崎:ニュースが北條史也ばっかり。でも、北條一人で勝てないぞ、と。鳥谷が怒っちゃいますよ。
師岡:鳥谷、セカンドやサードは守ってますけど、ショートはやってないですね。
松島:去年阪神はセ・リーグで一番失策が多かった(97失策)ですよね? これがまたどうなるかっていう。
師岡:投手陣も、メッセンジャー、能見篤史、これに藤浪晋太郎、岩貞祐太……。そこまでだよね。
戸崎:秋山拓巳がいい、という声も聞くんですけども、あまりいいとは思えない。そして、藤浪だって代表に選ばれたけど全然投げていないわけですし、これは苦しいぞ。
師岡:秋山はオリックス戦で8失点。いい体してるのにねぇ。あとは、岩田稔がどれだけ復活できるかだよなぁ。
松島:ただ、計算するまでにはいかないですよね。後ろだってどうですか? 藤川球児だってもう全盛期は過ぎてるわけですし。
師岡:藤川はセットアッパーいけるかどうか。抑えはドリスかマテオですよね。一方の打線は、高山俊は良くなってます。原口文仁もバッティングを買ってファーストにコンバート。ただ、外国人がいない。新外国人のキャンベルもオープン戦に出たのは最初だけで、もう純正打線でしょ?
戸崎:ゴメスもいなくなってるわけですから、怖さはないですよね。だって、4番が福留キャプテンですから。
師岡:福留はオープン戦3安打。落ち込んでるからなぁ。注目の糸井嘉男は?
松島:キャンプ前に痛めたのが膝、というのが気になりますね。
戸崎:糸井は長打力もありますけど、甲子園で左バッターに逆風が吹くわけで、長打を期待するのは酷ですよ。外野陣はセンター糸井でレフト高山、ライト福留……やっぱり一発の怖さはないですね。僕は本当に、金本監督の1年目に期待していたんです。でも、全員を押し出そうとした結果、チームの体を成さなくなってしまった。そこを2年目にどこまでまとめるのか。そこに注目したい。


読売ジャイアンツ×中日ドラゴンズ(@東京ドーム)


─── オープン戦最下位の巨人と、昨年のリーグ最下位中日の開幕カードです。
師岡:中日は先発の駒が足りてない。開幕が大野雄大でその次が吉見一起。そこまでなんだよなぁ。
戸崎:でも、今年は吉見がとってもいいですよ。この二人がどこまで引っ張ることができるかが鍵を握りそうなんだけど、その後がいないという状況。
松島:先発だと、若松駿太と、あとは又吉克樹はどうですか? 入団1年目から3年連続で60試合以上に救援登板してきた又吉ですが、今年は先発にも挑戦するという。
師岡:デニー友利投手コーチに聞いたら、「とりあえずやりたいっていうから1回テスト」だと。
松島:でも、オープン戦最後の先発登板(20日)も4失点でした。森監督も「他がしっかりしていたら救援でリリーフに戻すかもしれない」と。開幕を前にして先発がまとまらないっていうのが台所事情の厳しさを表している気がします。
戸崎:僕は若松と小熊凌祐に期待していたんです。キャンプで見たときに、この二人がすごく良かったんですよ。でも、二人とも先発のチャンスをもらって、結局外れちゃいました。伸び悩んでいるんですよね。あとは18番をつけている鈴木翔太にもみんな期待してるんだけど、なかなか一軍に定着できない。
松島:あとは、アラウホ、ロンドン、ジョーダンの新外国人トリオがどうか?
師岡:アラウホってずっと中で投げてない?
松島:先発候補で取ったはずなんですけどね。
戸崎:クローザー候補のロンドンも、球速が152、3キロは出ているんですけども、全部当てられちゃう。きっと打者から見やすいんですよ。だけど他にクローザーがいないんです。だから開幕シリーズで、吉見と大野の二人が巨人相手にどれだけやるか。ただまあ、分けてくるかもしれませんね。大野が巨人戦で、吉見を次の広島戦に持っていくかもしれない。
師岡:中日の上がり目、何かないかなぁ。
戸崎:こう見ると、中日は5位に上がれるかどうかですよね。聞いたらビシエド、今年はインフルエンザで出遅れてますけども、日本のストライクゾーンに困っちゃって悩んでいると。新外国人のアレックス・ゲレーロもいい打者なんですけど、同じキューバ人だからストライクゾーンはどうなのか。そして、打つのはいいけど走れないし、守備にも難あり。だからこの二人次第ですね。5位に上がれるかどうか。
師岡:対する巨人も先発の評価が難しい。僕が見たオープン戦では、宮國椋丞が良かったんですけども。投げ方少し変わったよね。
戸崎:変わりました。今年から巡回コーチになった小谷コーチの力じゃないですか? あの、一回間を置く三浦大輔のようなスタイルは、小谷さんの影響だと思います。
師岡:やっぱり小谷マジックだ。
松島:宮國が先発陣に入ってきたら大きいですよね。
師岡:菅野智之、マイコラス、田口麗斗、宮國、これに大竹寛、内海哲也。そしてFA加入した山口俊や杉内俊哉がどこまで復調できるのか。ただまあ、その通りいくかどうかは未知数。
戸崎:山口の右肩の違和感に関しては去年からのようですね。巨人はそれをわかった上で取っているので、ゆっくりでいい、と。3ヶ月くらいですかね。
松島:後ろに関しては澤村拓一が開幕に間に合わず……。
師岡:そうするとマシソンか、新外国人のカミネロか。
戸崎:カミネロいい投手ですよね。
師岡:ただ、そうなると外国人3枠を投手で使うことになるので、野手で1枠しか使えない。マギーを使うとなると、ギャレット、クルーズが使えない。入れ換えか、それこそ澤村が戻ってくるまで投手3枠態勢でやるのか。
松島:開幕に間に合わない人が多すぎますよね。陽岱鋼にしてもそうですし。ケガ人、不安持ちが今年の巨人は多いですね。ドラ1の吉川尚輝もそうですよ。
戸崎:潜在能力は素晴らしいけど。あとは豊富すぎるメンバーを宝の持ち腐れにならないように、由伸監督の采配に注目ですよ。そして何といっても注目は菅野。あれだけのボールを持っているのになぜあれだけ負けるのか。9つ勝っても同じくらい負ける。
松島:防御率2.01なんですけどね。
戸崎:バックの援護がなぁ。菅野先発の時は大抵1点勝負になってしまって、ボカンと一発にやられちゃうパターン。だからなのか、今年は防御率1点台のピッチングを目標にする、と話していました。
松島:でも、2015年なんて防御率1.91で10勝11敗でしたもんね。
師岡:援護がもらえないひとつの要因は、いっつも相手のエースとぶつかってしまって打線が打てない。結果として、これだけ防御率がいい投手でも勝ち星につながらないというのが巨人の辛いところだよね。やっぱり菅野で貯金を作らないと。あとは去年今ひとつだったマイコラスが2015年のように貯金を10つくることができれば。
松島:そう考えると、巨人には伸び代……伸び代って言うとおかしいですけど、勝ち星が伸びる可能性はありますね。でも、比較してしまうとソフトバンクの投手陣ってすごいですよね。和田が15勝5敗、武田が14勝8敗、千賀12勝3敗。東浜も9勝6敗。9勝6敗って東浜と菅野は一緒なんですよ。上4枚で28貯金しています。
戸崎:それなのに2位っていうのがおかしい(笑)。巨人に話を戻すと、オープン戦最下位だったのも気になりますが、キャンプもなんだかひっそりしていて、あんな静かなキャンプは30年取材してますけど初めて。その点を心配するOBの方もいましたから。阿部慎之助や村田修一といった一線級の人たちが年齢を重ねていって、次の若い世代に元気者がいないんですよ。期待の岡本和真も振れてないし。若い元気な選手が出てこないと心配。その中にあって、小林誠司が世界を経験してどう変わるか。
松島:まさかのラッキーボーイ。打つわ打つわ。無限の経験をしたってことですよね。シーズンでもどれだけ打てるのか、注目です。


東京ヤクルトスワローズ×横浜DeNAベイスターズ(@神宮球場)


─── ヤクルト、DeNAはいかがでしょうか。開幕投手はヤクルトが石川雅規、DeNAが石田健大と発表されています。
師岡:ヤクルトはけっこう今年はね……、勝てます。
松島:私も同じくそう思います。
師岡:揃ってます。新外国人のブキャナンもいいですよね。そして、新外国人ではさらにロス・オーレンドルフ。
戸崎:投手では球団最高年俸の1億7600万。使わなきゃいけないだろっていう。
師岡:加えて、館山昌平がここしばらくない程の調子の良さ。だから、先発陣は石川、館山……、小川泰弘は少し調子を落としてるんだけど、オーレンドルフ、ブキャナン、これに山中浩史、原樹里もよくなってる。で、後ろはルーキと秋吉亮がいて、もう一人の新外国人ギルメットもいて。
松島:ドラ2の星知弥もいいですよね。
師岡:去年のヤクルトは先発陣にひとりも二ケタ勝利がいなくて、チームは5位。でも、今年はここまで故障者もほとんど出ず。打つ方では何と言ってもWBCベストナインのバレンティン。集中力も素晴らしかったし、あんなに右方向へのバッティングができるのか、という驚き。真中監督も、「ベンチにオランダ国旗を掲げておいて、『これを見ろ!』とやろうかな」と(笑)。
戸崎:あんなに守備を頑張るバレンティンも初めて見ましたよ(笑)。
松島:ユニフォームもオレンジにした方がいいんじゃないですかね(笑)。
師岡:いやいや、オレンジの球団はあるから。でも、バレンティンは今年、契約最終年。その意味でもヤクルトには注目です。
戸崎:対するDeNAは、まぁ打つのは間違いないですね。4番・筒香嘉智がいて、5番にロペスもいて。
師岡:シリアコっていう新外国人がオープン戦でヒットを量産してました。心配なのは梶谷隆幸の腰の具合。最後は戻ってきたけど、梶谷がいなくなったらやっぱり痛いよね。
松島:あと、ドラフト9位の佐野恵太がいいですね。
戸崎:佐野はいいです。オープン戦では3番を打たせていました。まぁ左の代打ですね。彼は南海・西武にいた佐々木誠の甥っ子なんだけど、やっぱり思いっきりがいいのでラミレス監督が買ってますね。打線はセ・リーグの中で巨人と比べても一番いいんじゃないですか。そして投手陣も石田と今永昇太という両左腕が揃ってきました。ただ、新外国人の二人が全くの未知数。
師岡:ウィーランドとクライン。
松島:クラインは四球相当多いみたいですね。
戸崎:クラインはこの前、7四球。ピンチになるとストライクが入らない。体は2mくらいあるけど、心はちっちゃい。だからウィーランドとクライン次第ですね。クラインは8000万、ウィーランドは1億5000万くらい払ってるんでね。活躍してもらわないとDeNAは困るはずです。
松島:後ろは?
戸崎:新外国人のパットンがすごくいいです。だから、山崎康晃、三上朋也、パットンの3枚が後ろに控えていて、その前に須田幸太、田中健二朗、高崎健太郎も中継ぎにまわります。高崎は去年1年、肩の故障でファーム暮らし。その分、今年の自分自身に誰よりも期待しているはず。すごくいいボールを投げています。あとは、井納翔一がどれだけ貯金できるか。
松島:去年7勝11敗ですもんね。


師岡:確かにDeNAは楽しみですよ。正捕手の戸柱恭孝も開幕に間にあったしね。あ、キャッチャーでいえば、ヤクルト・中村悠平のバッティングが今年は楽しみ。オープン戦で数字いいんですよ。本人も、去年の秋から取り組んでることが実を結びつつある、と。中村が打つようになると打順の回りがよくなって、もともとも高いヤクルトの攻撃力がさらに機能していく。
戸崎:野球の巧さではやっぱりヤクルトなんですよ。DeNAは、オイオイオイ!と言いたくなる野球をたまにやりますからね。
松島:DeNAは言葉が悪いかもしれないけどバクチ的な面白さがありますよね。子供が好きそうなチームですよね。
師岡:確かに、見ていて一番面白いチームかもしれないね。

(オグマナオト)
番外編に続く