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●上手い条件の決め方って?
「レトロな味わい」「眺望GOOD」「倉庫っぽい」など、新しい視点で不動産を発見し、紹介しているサイト「東京R不動産」。今回は、東京R不動産ならではの視点で、家賃や設備など物件探しの基本から、不動産サイトの使い方のコツまで、あなたにとって最高の物件を見つける方法を教えます。

○家賃の"本気の上限"を決めておく

日々、数多くの物件を紹介していて、「ああ、この人、決められないんだろうな……」と感じる瞬間があります。それは、おしゃれなデザイナーズ系と超レトロ系など、まったく違うタイプの物件を同時に問い合わせるお客さんと出会ったとき。

そう、自分の中の物件選びの基準が、まったく絞り込まれていないのです。「とりあえず、ここもここも見たいです!」と言われると、僕ら不動産屋は萎えてしまうので、「とりあえず」はNGワードにしたいくらい(笑)。

基準という意味で、もっとも重要なのは家賃でしょう。こと10万円台の物件において、数万円は雲泥の差。1回買ったら終わりの服やモノとは違って、家賃は毎月発生しますから、もし13万円を18万円に上げようと思ったら、そもそもの稼ぎを変えなければいけません。

自分が払える本気の上限を決めたら、それ以上の物件は見ない。……そう強く主張したいところですが、1割までならオーバーしてもまあOK。それくらいなら、飲みに行く回数を減らして家賃にあてることもできますし、交渉しだいで下がることだってありますから。

○あなたの条件は、相場から逸脱していないか

少し不便な場所にある物件を見に行って、「この物件が、代々木上原にあったらなあ……」と言うお客さんがいます。でも不動産の価格というのは、立地や築年数、広さなどによって、総合的に形成されるもの。仮に、便利で人気も高い代々木上原に似たような物件があったとして、さて同じ家賃で借りることができるでしょうか?

何か条件を良くしたければ、価格が上がると思わなければいけません。当たり前の話ですが、これは物件探しをするうえでの鉄則。もし家賃を上げられないのなら、広さを減らすとか、駅からの距離を遠くするとか、そうした「バーター取引」をしないと帳尻は合わないのです。

ちなみに、代々木上原の高級住宅街のど真ん中に、ある格安物件があります。鉄骨2階建てで30平米、その家賃はなんと8万円! このエリアでは破格ですが、一部和室だし、お風呂はバランス釜。これこそ、立地や家賃は譲らないけれど、設備はがまんする典型といえるでしょう。

○"オール3"より"1つの5"がある物件を

では「最高の物件」に出会うために、一番重要なことは何でしょう。それは、自分がグッとくるポイントを見つけることだと思っています。

駅からも遠くないし、値段もそれほど高くない、設備だって悪くない……。こうして「まあいいか」といって決めてしまった無難な物件は、なかなか「最高」にはなりえません。一方で、階段で4階まで上がらないといけないけれど、すばらしい眺望がある。そんな物件は、いくら古くても、設備が微妙でも、必ず「最高」だと感じてくれるお客さんが見つかります。すべてのマイナスを眺望がふっ飛ばしてくれるのです。

通知表の成績で例えれば、オール3ではなく、他は1と2ばかりだけど体育だけは5という物件を探すわけです。もちろん「オール5がいい」という人もいるでしょうが、そういう物件は、仮にあったとしても家賃が高い。そして、オール5を目指した結果、オール3に落ち着く。それって結局、すべてを取り逃していますよね。

○設備は麻薬

とかく不動産業界は、新築で駅から何分で、オートロックがあって、といったスペックや設備に重きを置きがち。でも、「それだけではない」という人がけっこういたので、東京R不動産のような変わったサイトが成り立つのです。

気をつけてほしいのは、「設備は麻薬」だということ。宅配ボックスや自動お湯はり機能に気軽に手を出してはいけません。一度その便利さを知ったら、もうやめられないですから(笑)。

●ポータルサイトや不動産屋を使いこなすコツは?
○勝手に情報が入ってくる状態をつくる

さて、ここまでは物件を探すときのスタンスやマインドの話、ここからは、さまざまな「ツール」の使い方についてご説明しましょう。不動産仲介サイトにしろ、リアルの不動産屋にしろ、それぞれ得意分野がありますから、特徴を理解したうえで使いこなすことが必要です。

たとえば、大手ポータルサイトの特徴は、物件数が圧倒的に多いということ。1つひとつ見ていては時間がいくらあっても足りないので、自分に合った情報が勝手に入ってくる状態をつくることがポイントです。

最近は、登録した条件に合致した物件が見つかるとお知らせしてくれる機能があるので、それを活用しましょう。実際かなり精度は高く、これだけで街の不動産屋とそれほど変わらないレベルの情報を手に入れることができます。

○物件との偶然の出会いを楽しむ。

僕らのようなセレクト系の不動産サイトで探すときは、予算と広さだけ決めたら、あとはできるだけニュートラルな視点で見てほしいと思っています。東横線で探していたのに、気づいたら高円寺に住んでいた。そんな偶然の出会いを楽しんでもらいたいので、R不動産では、あえて検索機能を弱くしているくらいです。

もし、住みたいエリアや路線が決まっているのなら、大手ポータルサイトと地元業者を組み合わせるのがいいでしょう。不動産屋は基本的に、オーナーから預かった物件は自分のところで決めたいもの。それゆえ、エリアに特化した地元業者には、ポータルサイトには載っていないお宝が眠っていることもあるのです。

その極端な例が、人気エリア「谷根千」の根津。古い街なので、不動産業者とオーナーの付き合いは先代から、ということが多く、ネットにいい物件が転がっていることは極めてまれ。情報は不動産屋に貼られた紙でしか流通していないので、「根津(で好きな物件)に住みたければ、まず根津に住め」なんて言われるほど。こうなると、もはや足で探すしかありません。

○まだ見ぬ恋人を待つな!

最後に、一番残念なのは「そもそもないものを待っていて決められない」というケース。たとえば、ファミリータイプの分譲マンションはほとんど存在しないエリアなのに、それをずっと探しているというパターンです。まだ見ぬ運命の恋人を待っているけれど、まだ恋人は生まれてすらいなかった、という悲劇(笑)。

もし、中古マンションを買いたいと思っているのなら、希望エリアの地図をプリントして、そこに分譲マンションをプロットしてみましょう。実際に買える可能性があるのは何棟で、ファミリータイプの間取りがあるのはこことここ、という風に。すると、この予算で買える・買えないということがわかって、ムダな時間が省けるはず。

売買物件の場合、地域の営業マンが未公開情報を握っていることも多いので、地元の不動産屋に行ってアンケートを書くことも重要です。不動産屋をその気にさせるアンケートの書き方、なんてマニアックな話もあるのですが、長くなりそうなので、それはまたの機会に。

イラスト: いらすとや

○聞き手・ライター: 井上健太郎

1976年東京生まれ。大学卒業後、単行本のプロデュース・編集を手がけるオフィス「ブルー・オレンジ・スタジアム」を経てフリーランスに。2012年、ステキ面白コンテンツカンパニー「リライトw(ダブリュー)」を共同で設立、役職はCEO(Chief Editorial Officer)。現在、書籍、雑誌、ウェブ、広告、フリーマガジンなど、ジャンルを問わず日々編集&執筆中。これまで関わった書籍は、100冊以上150冊未満。

(東京R不動産)