米ワシントンの警察がウェブサイトとソーシャルネットワークに掲載した行方不明の少女たちの写真(2017年3月27日作成)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米首都ワシントン(Washington D.C.)の警察は3月、市内で行方が分からなくなっている少女たちの捜索のためソーシャルメディアを活用することを決めたが、後にこの決断が、人種間の緊張を背景にした偽情報の拡散につながることとなった。

 3月中旬、首都ワシントンの警察は、行方不明者らの写真を次々とツイッター(Twitter)で公開した。写真では13〜15歳の黒人の少女が目立った。ツイッターへの公開について警察は、ソーシャルメディアの力を借り、「若い行方不明者たちへの人々の関心を早急に集めたかった」と話している。

 一連の投稿は何十万回とシェアされ、ネット上で急速に拡散。当初の目的は達成されたように思われた。

 しかし、この問題に対する熱い関心の表れなのか、誘拐や人身売買といった虚偽の投稿も数多く飛び交い、また一部では、メディアが意図的にこの行方不明の問題を無視していると非難する声も上がった。

 そして、「過去24時間で少女14人がワシントンで行方不明」と誤った情報がインスタグラム(Instagram)に投稿されたことで、ネット上の騒ぎはピークに達した。以来、ソーシャルネットワークは「#BringBackOurGirls(われわれの少女たちを取り戻せ)」「#missingDCgirls(消えたワシントンの少女たち)」「#Findourgirls(われわれの少女たちを捜せ)」といったハッシュタグの下、誤ったうわさが氾濫している。

 マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師の娘のバーニス・キングさんもメッセージを発信した。この中でキングさんは、「性目的の人身売買と性奴隷は米国と世界でまん延している。私たちの#missingDCgirlsは家出したのではない」と述べている。

 ワシントンを拠点とするプロスポーツチームの一部選手も、自身のソーシャルメディアのアカウントを通じて、偽のものを含む様々な情報をシェア・拡散した。他方で、米プロバスケットボール協会(NBA)のロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)で活躍するクリス・ポール(Chris Paul)選手は、「警戒して子どもたちの安全を守ろう」とツイッターで600万人のフォロワーに向けて呼び掛けている。

 こうした偽情報が飛び交った背景には、多くの黒人が自分たちに関するニュース、特に警察が関係するものについて白人と同等の報道がなされていないと不満を感じていることある。そのような中、ワシントンの警察は今回の件で矢面に立たされ、先週には黒人が多く居住する地域の集会で厳しい質問を浴びせられた。

■行方不明者の数は増えていない

 複数の黒人議員らは、米連邦捜査局(FBI)に行方不明の少女たちの捜索を要請。ジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)司法長官の広報担当は、そのような要求があったことについて認めている。

 そして、情報の隠蔽(いんぺい)あるいは十分な対応を取っていないとの非難に直面したワシントンの警察当局は3月24日に記者会見を開いて問題の対処に当たった。

 統計で示されたデータによると、ワシントンの未成年者の行方不明者の数は、年間2200〜2400人で推移しており、近年特に増えたということはない。誘拐はまれで、大半は家出だ。対象者は発見されるか自ら家に戻るかして、約95%は解決しているという。
【翻訳編集】AFPBB News