ミス即圏外!世界フィギュア男子シングルの戦いはノーミスでようやくスタートラインに立てる神々の戦いだった件。
神様が大集合!ここは出雲か!

「これから始まる戦いは間違いなく歴史に刻まれる」という煽り文句。中継ではついでに「たった一度4回転を決めただけで昔は勝てた…」という、若干失礼な回顧を被せながら始まった一戦。世界フィギュアスケート選手権男子シングルは、盛りに盛ったつもりの煽りさえちょうどよくなるような、まさに「歴史に刻まれる」戦いでした。

次々に繰り出される歴史的演技。表彰台圏内とそれ以外をわけるボーダーラインは、ついにショートプログラム100点という高みまで到達しました。「キリがいいね!」という気持ち。「100点前後で戦うように設定しよう」と思って作った採点システムではないけれど、人間のキリのいいとこまで行きたいという情熱がこうさせたのでしょう。

そんな神試合にあっては、SP100点超えの世界の住人でも、ワンミスでジワリと後退してしまう。パーソナルベスト、パーソナルベスト、パーソナルベストの連打の前ではミスを含んだ演技で上回ることはもはや難しい。真・4回転時代。本当にこの時代を切り拓いてよかったのだろうか……器の小さな戸惑いさえ首をもたげてくるかのような戦いです。

しかし、後悔はしない。

この時代は必然。この時代はいつか誰かがたどりついたもの。ならば、最高の自分が出せる時間のうちに、最高のライバルとともにたどりつきたい。この時代を制することができたら、文字通り「歴史に刻まれる」王者となる…そういう条件が整ったのだと考えたい。どうせつかむのなら、より大きな勝利を。ミスしても勝てる戦いではなく、最高の自分を出したら勝てるかもしれない戦いを。

そう望んで、信じた相手を信じ抜く自分でありたい。

「好き」と「勝つ」と「記録」がひとつになる、最高の五輪を目指して。

ということで、「基本生」という望外に恵まれた環境でお届けされた、フジテレビ中継による「世界フィギュアスケート選手権 男子シングル・ショートプログラム」をチェックしていきましょう。

◆超ハイレベル!誰かコケるかと思ったら、誰もコケへんかった!

多くの観衆によって埋め尽くされたスタンド。これから始まる戦いに誰もが胸を高鳴らせている。たとえ、てるみくらぶで行っちゃってる日本のご婦人がいたとしても、今だけはリンクにすべての心を奪われて帰路のことを忘れられる、そんな一戦の始まり。

そのプレミアムな舞台にふさわしく、フジテレビも「基本生」という最高の贅沢を用意してくれました。第4グループのもようから始まった中継は、現地と同じ時間を追いかけていきます。整氷の間に流すべきは充実の煽りなのか、中継開始前の注目選手による演技なのか、そこは裁量の範囲内ということで受け入れましょう…!

日本勢で最初に登場したのは第4グループの田中刑事さん。飛躍のシーズンを締めくくる、自身初の世界の舞台。ただ、その記憶は少し苦いものになりました。冒頭の4回転サルコウでの転倒、コンビネーションジャンプでのお手つき。苦々しい顔で田中さんは演技を終えます。

↓まぁ、フリーに進めてよかった!フリーで巻き返したという記憶を持って帰ろう!

目指そう自己ベスト!

試合はまだ半分も終わってない!

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「ちょっとコケただけですやん…」という話はもはや通じない。そのことを感じさせたのは実力者が集った第5グループの演技。ロシアのコリヤダが、中国のボーヤン・ジンがパーソナルベストで100点に迫っていく。逆に、実績ある選手でもベストに及ばないような演技では、後方の順位に沈んでいく。今大会の注目選手のひとりであるネイサン・チェンでさえも。

第5グループの4番手で登場したネイサン・チェンは、初の世界選手権でありながら優勝候補の一角。冒頭の4回転ルッツ+3回転トゥループ、4回転フリップはクリーンに決めて順調に滑り出します。しかし、演技後半に入ったところのトリプルアクセルで派手に転倒。リズムを崩したか、つづくスピン・ステップではレベルを立てつづけに取りこぼし、落胆の表情を見せます。

↓97.33点は全然悪くない、悪くはないがトップには立てないくらいの時代がやってきただけ!

もうトリプルアクセルをクビにしよう!

4回転5種・7回で埋めたらアクセルの不安は回避可能!

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最終グループの演技が始まる時点で90点台がすでに4人。しかし、真の戦いはまだここからという恐ろしさ。カッコイイ紹介画像とともにウォームアップにのぞむ選手たちは、複数の4回転と高い完成度を誇る「神々」ぞろい。そのなかにはもちろん、日本の誇る選手たちの姿もあります。

最終グループ1番手で登場したのは羽生結弦氏。ウォームアップから即演技という形になった羽生氏は、演技を前にひとつの罠にとらわれていました。名前のコールから演技開始までの制限時間30秒を、知らぬ間に踏み越えてしまっていたのです。あとからビデオで見返せば確かにコールからスタート位置につくまでたっぷり40秒かけているので、おっしゃるとおりなのではありますが…。

冒頭の4回転ループは素晴らしい出来栄えで着氷。しかし、つづく4回転サルコウでは片膝をついてしまいます。あまりにキレイについたので、一瞬振りつけかなと思ってしまうようなカッコよさです。ただ、実際は振り付けではなかったようで(当たり前)、痛恨のミスとなりました。

頑張って両手をあげるダブルトゥループをコンボでつけるも、コンビネーションとは認められず、2回転ということでそのジャンプ自体もキックアウトされることに。本来なら16点から17点を取れる部分が、出来栄え含めて6.50点にとどまり、10点ほどのロスとなりました。

それでも、そのコケ以外はいい演技。後半のオーノーレッツゴーアクセルもこれ以上ないという出来栄えでしたし、足換えのシットスピンのあとには客席を煽るように「声、出てる?」ポーズを決めていく名場面も。四大陸選手権では控え目だったギターソロに合わせてのズサーーーもいい角度まで反り返っています。最高のステップ、最高のスピン、カッコいいコケが採点上は惜しかったけれど、まったく悪くない演技です!

↓100点まであと少しのスコアでも悔しさ滲む、そんな厳しい時代!


カッコいいコケに加点を要求する!

ダメですか、そうですか!

わかった、ならばフリーで大変なことが起きるかもしれないことを覚悟しておくんだな!

フリーでは「楽しむ」!(狩りに臨むライオンの気持ちで)

↓まさに野獣!獣の鼻と耳を持つ獰猛なオスがライバルに挑みかかる!


「おのれ、恐るべき獣め!」
「世界の優れた選手たちに襲い掛かる気か」
「それはならぬ!」
「襲うなら僕を襲え!」
「僕は逃げも隠れもしない」
「武器も隠していない」
「不安なら脱ごうか?」
「わかった、脱ごう」
「見ろ、何も持っていないぞ」
「さぁ、襲うなら襲え!」
「襲え!」
「何回転でもするがいい!」
「2種類で3種類でも回転するがいい!」
「みんな逃げるんだ!」
「ここは僕が食い止める!」
「何という長い舌だ!」
「うわぁぁぁぁ…あぁぁぁぁ…」
「あっ」

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「悪くない」ことは間違いない。しかし、「悪くない」だけでは届かない。つづく演技者たちは次々に「最高」を繰り出してくる。宇野昌磨クンは滑り終えた瞬間に100点超えを確信できる演技で、本人も控え目ながらしっかりとしたガッツポーズで確信を見せます。コーチがはしゃぎ、テンションを上げ、見つめ合う。肩を抱き寄せ、目を見つめたときには「おい待て、チューする気ちゃうんか」と画面に指を突き立ててしまいましたが、チューしてもおかしくないような演技でした!

↓どっちが成し遂げた本人で、どっちが見守ってる人か混乱するようなテンション!

公の場でハグできるふたりは、裏では全部できる!

それが僕の長年の経験に基づく法則です!

そして、何と言っても圧巻だったのは2連覇中の王者、ハビエル・フェルナンデス。「僕はそれを阻止するだけさハハハ」と羽生氏が狙う玉座の前で立ちはだかるナイスガイ。明るく、楽しく、そして最高に強い王者が、いつも隣で笑っている。とても素敵な物語は、なおも激しさを増してつづいていました。

冒頭の4回転2連発、さらにトリプルアクセルとジャンプは見事な出来栄え。さらにスピンやステップでも観衆を魅了し、大きな手拍子を引き出していく。日本勢が埋め尽くしているかと思われた会場さえも、スペインの国旗で満開になるような演技。「これがミキを包み込んだ男の大きさか…」と改めて震えるような思い。今日のところは、やられた!

↓最高の友だちが最強のライバルだなんて、素晴らしい!


「そして、最強のライバルが」
「最高のパートナーだなんて」
「やっぱり私、幸せ!」
「たとえ彼の友だちが」
「何回ご飯に誘っても」
「全然応じてくれなくても」
「私には最高の彼がいるから」
「きっと大丈夫!」
「それにしても」
「どうしてご飯、断るんだろう」
「スケートに集中してるのかな…」
「でも彼は私とご飯食べてるから」
「私とご飯食べながらでも」
「世界チャンピオンにはなれると思う…」

もはや、何がどうなっているのかという感じですが、つづくパトリック・チャンも100点を超える好演技で、ついに表彰台圏内が全員100点という状況に。ワケがわからない次元に戦いは移っていってしまったのか。とにかく、ミスが出た選手は勝負の枠外にいくことは間違いないのでしょう。それは逆に言えばフリーでもうひと勝負あるということでもある。完璧な演技で巻き返す、最後の決着までどうなるかわからない戦い、ひきつづき勝負は継続中です。

今思うのは、やはり今季の挑戦は正しかったなということ。昨年の構図ならば余裕があった演技構成も、今となってはライバルたちに追いつかれ、肩を並べるような状況です。完成度という意味でも迫られています。その先へ進むため、自分の器を大きくするような挑戦をしてきたからこそ、今の苦しさもあるし、来年への光もある。器が大きくなければ「完成」したときの天井も相応に低くなるのです。この時代が必然なら、この苦しみもまた必然なのです。

生みの苦しみを感じながら、それでも勝ちたい。

燃える戦いを与えてくれた状況に、苦しみながら感謝します!

とりあえず「金くれ…金くれ…」と念仏を唱えておきますね!