中朝国境を流れる鴨緑江のほとりに立つ北朝鮮の国境警備所。(撮影:デイリーNKソル・ソンア記者)

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中国が、中朝国境地帯の警備をさらに強化したと、韓国の北朝鮮専門メディア・ニューフォーカスが報じた。

北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)は、国境を流れる鴨緑江を挟んで、中国の吉林省長白朝鮮族自治県と向かい合っている地域で、脱北や密輸が町の一大産業となっている。

ニューフォーカスの現地情報筋によると、中国の国境警備隊が3月15日ごろから監視塔の周辺はもちろん、人の往来がない無人地帯にも監視塔を建てて、警戒態勢を強化するようになったという。

河原付近には、以前のように堤防の上からだけではなく、河原にまでテントを張って国境監視に当たり、周辺では戦車が行き交っているとのことだ。

中国側の厳重警戒の様子を見た恵山の住民は、恐怖に怯えている。また、脱北を計画していた人々は「今は時期が悪い」と延期している。中国側の脱北ブローカーは、国境警備隊の監視のせいで、川に近づくことすらできずにいる。

地元民は、中国の国境警備の強化の理由について「金正恩党委員長が、中国の逆鱗に触れたからだろう」とこそこそ噂しているという。

一方情報筋は、韓国にいる脱北者と電話で話して、ようやく中国政府の意図が理解できたと述べている。

中国政府は、米国が韓国で進めている最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に対して「朝鮮半島のパワーバランスが崩れ、中国の利益が侵害される」として、強硬に反対している。

自国民の韓国ツアーの販売を禁止したり、中国に進出している韓国企業に対して様々な制裁措置を取ったりしている。その一環として、中国を経て韓国に向かおうとする脱北者をもはや黙認せず、そもそも脱北させないため国境警備を強化しているというのが、この情報筋の見立てだ。

国境警備の強化により、密輸も困難になっている模様だ。この状態が長期化すると、市場に供給される品物が減り、物価が高騰しかねない。デイリーNKの物価動向調査では、3月中旬時点で、恵山の物価に大きな変化はないが、今後の動向が注目される。