銀行からの大金強奪の背後に北朝鮮が関与していたことが発覚。サイバーセキュリティ業界は警戒を強めている>

制裁に次ぐ制裁で資金的に追い込まれた北朝鮮がついに銀行からカネを強奪したようだ。それもサイバー攻撃で。

ニューヨーク連銀にあるバングラデシュ中央銀行の口座から昨年、不正な送金指示で数千万ドルが盗み出された事件。その背後に北朝鮮のハッカーがいたと米国家安全保障局(NSA)の高官が先週、暗に認めた。

ハッカーは9億5100万ドルの不正送金を試みたが、実際に送金できたのは8100万ドル。事件後、いくつものセキュリティー企業が北朝鮮の関与を指摘したが異を唱える専門家もいた。

だが先週、NSAのリック・レッジェト副長官は米シンクタンクの会議で、北朝鮮が背後にいたことをにおわせた。彼は民間の専門家が、今回の事件と14年に起きたソニー・ピクチャーズへの攻撃を関連付けたことを指摘した。ソニーの事件は北朝鮮による犯行だと、米政府は考えている。

この2つの事件の関係者がつながっているなら「国家が銀行から強奪したことになる」と、レッジェトは言う。

レッジェトは、NSAが事件に関してつかんだ証拠を明かしていない。しかし彼は、北朝鮮の関与を疑う見方のほうが「もっともだ」と、語っている。

【参考記事】サイバー戦争で暗躍する「サイバー武器商人」とは何者か

北朝鮮のハッカーが銀行から大金を盗もうとしたことに、サイバーセキュリティー業界は警戒を強めている。事件の手口は技術的に洗練されており、サイバースペースにおける北朝鮮の高い能力と大胆さを印象付けるものだと、コンピューターセキュリティーの専門家は言う。

事件の背景には、北朝鮮での資金需要の高まりがある。国連は対北朝鮮制裁を進め、北朝鮮が外貨獲得のために中国に設立したフロント企業を調べている。

国際社会は、一連のミサイルと核実験を行った北朝鮮への圧力を強めている。ティラーソン米国務長官は最近、北朝鮮の核開発計画に対し、アメリカは先制攻撃を行う用意があると語った。中国も反抗的な北朝鮮への不満から、石炭輸入を停止した。

銀行から多額のカネを強奪すれば、北朝鮮は制裁を受けても外貨を獲得できる。北朝鮮の悪事がばれずに成功したことはあまりないのだが。

From Foreign Policy Magazine

[2017.4. 4号掲載]

イライアス・グロル