車いすを利用する患者。仏アンジェの病院で(2013年10月23日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】世界保健機関(WHO)は30日、世界のうつ病患者の数が2005年からの10年間に18.4%急増し、2015年までに3億2200万人に到達したと発表した。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、声明で「これらの最新統計は、世界のすべての国々に対して、メンタルヘルスへの自国の取り組みの見直しと、現状に即した緊急対応を促す警鐘となる」と述べている。

 WHOの定義によれば、うつ病は単に抑うつ発作にとどまらない。「永続的な悲しみと、人々が通常楽しむことのできる活動への関心喪失に、2週間以上にわたり日常的な活動ができなくなる状態を伴う」としている。

 うつ病の症状としては、活力の欠如、食欲や睡眠のパターンの変化、薬物乱用、不安、倦怠(けんたい)感、自傷や自殺の念慮なども多くみられ、これらは家族全体に大きな影響を与える可能性がある。

 また、WHOによると、うつ病に関連づけられることの多い生産性の低下については、世界で年間1兆ドル(約112兆円)と推計される大きな経済的損失をもたらしているという。

 WHOのメンタルヘルス・物質乱用部門を率いるシェカール・サクセナ(Shekhar Saxena)氏は30日、心理社会的療法と薬物療法によって非常に高い効果が得られる可能性があると指摘。必要としているより多くの人々に手を差し伸べることの重要性を力説した。

 WHOによると、うつ病治療の受診機会の向上に1ドル(約112円)投資するごとに、健康と生産性の向上で4ドル(約448円)の見返りが得られるという。

「うつ病の早期発見と治療は、自殺による死者を減らす非常に効果的な手段の一つだ」と、サクセナ氏は記者会見で語った。

 世界の自殺者は、毎年約80万人に上っている。自殺とうつ病との関連性は明白だ。

 サクセナ氏は、高所得国の自殺者の70〜80%と低所得国の自殺者の約半数には精神疾患がみられ、なかでもうつ病が最も多いことがこれまでの研究で示されていると指摘した。
【翻訳編集】AFPBB News