外為オンライン・アナリストの佐藤正和さんに4月相場の動向をうかがった。

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 トランプ大統領が選挙公約の筆頭に掲げていた「オバマケア見直し」が、修正されて議会に提出されたものの議会の承認を得られそうもないとして、法案取り下げに至った。大統領に就任して以来、はっきりとした成果を上げられない中で、トランプ政権の吸引力は低下する一方と言って良いだろう。そんな状況の中で、ドル円相場も一時の円安トレンドは後退し、いまや円高懸念の方がより鮮明になりつつある。為替市場の動きに合わせる形で、株価も日米ともにトランプラリーの終焉を思わせるような下げを見せている。そこで、この4月はどんな為替市場になるのか。外為オンライン・アナリストの佐藤正和さんに4月相場の動向をうかがった。

――オバマケア改訂法案が取り下げられましたが、その影響は?

 オバマケアをもっと使いやすいものにする――と明言してきたトランプ大統領ですが、結果的には与党である共和党の一部の支持を受けられずに、取り下げという形になってしまいました。同法案が議会を通過しなければ、株価が急落して円高も進む、と見られていたのですが、実は法案が取り下げられる前に、ニューヨークダウは7日間連続で下げており、すでに市場は織り込んでいた、とも言えます。

 そのために、ドル円相場も法案取り下げ直後はやや下げたものの、1ドル=110円台を割り込むこともなく、再び円安に戻っています。実際、1ドル=110円という水準は、トランプラリーの半値戻しの水準でした。トランプ大統領が選挙で勝つ直前のレートが1ドル=101円20銭。その後のトランプラリーの最安値が1ドル=118円60銭でしたから、110円というのはちょうど「半値戻し」の水準になります。

 言い換えれば、半値に戻したため達成感が出て、再び「円安」方向に振れて、さらなる円安を目指すというシナリオが始まったとも言えます。むろん、何か突発的なことがあれば、再び円高を目指すシナリオもありそうです。

――4月で注意すべきイベントには、何があるのでしょうか?

 米国内に絞っていえば、まずは3月の「FOMC(米連邦公開市場委員会)」の議事録が4月6日に公表されるため、その内容を精査しておく必要があります。今後、FRB(米連邦準備制度理事会)による政策金利の引上げが年3回に留まるのか、それとも年4回になるのか。そのヒントがあるかもしれません。また、4月7日の米雇用統計には注目しておくべきでしょう。為替市場への影響度が高い非農業部門雇用者数の動向には、常に注目しておく必要があります。

 さらに、米財務省は「包括貿易・競争力強化法」に基づいて、毎年4月と10月の15日までに「為替政策報告書」を議会に提出することになっています。トランプ政権発足以来初となる発表がこの4月15日にもあると見られています。その報告書で、中国や日本といった国が「為替操作国」として名指しで指摘されるようなことがあれば、やはり為替市場には少なからぬ影響が出て来ると思います。

 米ドル相場にも影響しそうな大きなイベントとしては、4月23日に実施されるフランスの大統領選挙があります。いまのところ極右でEU離脱を前面に押し出している「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン党首が、事前の調査では第2位の人気を獲得しています。フランスの場合、過半数を獲得できる候補者がいない場合は、上位2人の候補者による決選投票が行われます。決選投票は5月7日ですが、英国のEU離脱を問う国民投票でもそうだったように、選挙の結果はふたを開けてみるまで分かりません。

―-日銀の動きは最近注目されませんが、4月の予想レンジは?

 日本国内の動きとしては、政治的には森友学園などの話題が連日メディアを騒がせていますが、株価や為替にはあまり影響していません。日銀の金融政策決定会合も4月27日、28日とありますが、4月は米国のFOMCがないため、あまり大きな動きはないと考えられます。