米ツアー12年目を迎えた宮里藍(31歳)が、今季のメジャー初戦となるANAインスピレーション(3月30日〜4月2日/カリフォルニア州)に臨んでいる。


今季メジャー初戦、ANAインスピレーションに挑んでいる宮里藍 前週の起亜クラシック(64位タイ)を終えたあと、宮里は落ち着いた表情でメジャー大会へ向けての抱負をこう語った。

「もちろん『メジャーで勝ちたい』という気持ちはあるけれど、そこばっかり先走ってはダメ。今、取り組んでいること、パッティングを含めてたくさんあるので、それらを丁寧にやれればいいな、と思っています」

 ANAインスピレーションの舞台となるのは、例年と同じくミッションヒルズCC、ダイナショアコース。全長6700ヤード超えと距離が長く、年によっては深いラフが選手の行く手を阻む。硬くアンジュレーションがきついグリーンにも多くの選手が苦戦を強いられる、戦略性の高いコースだ。

 しかも、強風が吹いたときは、さらに難易度が増す。午後になると、砂漠から乾いた強風が吹くことがしばしばあって、世界のトッププロでさえ、思うようなプレーをさせてもらえない。

 宮里はこれまで、同コースとの相性が決していいとは言えなかったが、昨年は違った。初日から「67」の好スコアをマークして首位に立つと、2日目も「70」で回ってトップの座をキープ。最終日は首位と2打差の5位という好位置で迎え、悲願のメジャー初制覇へ、その可能性も、期待も大いに高まった。

 結局、最終日は「75」とスコアを伸ばせずに後退。最終的には18位タイで終えたが、宮里がまだまだメジャーで戦える実力があることを証明した一戦となった。

 好調の要因は、パッティングだった。その前週の試合の際に、パターのロフトの角度を変えて調整したら、突如パッティングが冴えわたったのだ。

「昨年は前週の起亜クラシックでパットが冴えて、その流れのまま、勢いがついていいプレーができました。今年はシーズンの初めから、パッティングのフィーリングがすごくいいので、その点に関して不安はありません」

 今季もパッティングには自信を持つ宮里。昨季の最終戦、CMEツアー選手権から左手を下にしてグリップする”クロスハンド”に切り替えた。

 今や男子プロでも、マスターズチャンピオンのジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)、メジャー4勝のロリー・マキロイ(27歳/北アイルランド)らが取り入れているスタイル。これだと、インパクトで、いわゆるパンチが入ることが少なくなり、もともとゆったりしたリズムでストロークする宮里には適している。実戦で続けてきて、ようやく自信もついてきたところだ。

 逆に、今季はシーズン当初から、ショットの不振に悩まされていた。その結果、自身の今季初戦となる2月のホンダ・タイランドから、ここまで芳しい成績を残せていない。

 原因は、オフのトレーニングで下半身を強化したことにあった。宮里が言う。

「体が強化された分、スイングのテンポを上げて打ったほうが、タイミングが合いそうな感じだったので、(テンポを)速めて打つようにしたんですね。ところが、まったくタイミングが合わなくなってしまって……。それで、タイでも、その翌週に出場した日本ツアーのダイキンオーキッドレディスでも、あまりにショットがひどくて、ぜんぜんゴルフになりませんでした」

 ショット不振の原因がわかってからは、まずはスイングのリズムを一定にすることに重点を置いてきた。そして今、ようやく自分のスイングを取り戻し始めている。そうなると、下半身がどっしりとした分、安定感が増して、ショットの精度は一段と高まった。

 男子ツアーと同じく、米女子ツアーでも、昨今は”パワーゴルフ”の戦いとなってきた感は否めない。アリヤ・ジュタヌガーン(21歳/タイ)、レキシー・トンプソン(22歳/アメリカ)などは、平均260ヤードを飛ばすロングヒッターだ。そうした面々がメジャー大会をはじめ、ツアー全体で猛威をふるっていることは間違いない。

 だからといって、”飛ばない”選手が戦えないわけではない。宮里も同様である。安定したショットと、巧みな小技、さらにパッティングが決まれば、昨年のように優勝争いに加わっていくことは十分可能だ。

「目の前のやるべきことを、ひとつ、ひとつ、やっていきたい」

 注目のメジャー初戦。宮里藍だからこそできる戦い方で、どんな結果を出してくれるのか、しっかりと見守っていきたい。

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