3月30日の練習後、高木は「今はこの怪我もポジティブに受け止めている」と語った。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 年明けに右足第5中足骨の疲労骨折が判明し手術を受けたFW高木俊幸が、間もなく全体練習に合流できそうだ。順調にリハビリをこなし、短距離のダッシュをこなすまで回復。本格的に負荷をかけるのはこれからだが、今後の目処が立ってきたことで、その表情にも“明るさ”が戻ってきた。
 
 昨季第1ステージではわずか2試合・32分間の出場時間しか得られなかったものの、一点して調子を上げた第2ステージ途中からはシャドーのレギュラーの座を確保。リーグ終盤の7試合連続で先発し、広島、G大阪から貴重なゴールを決め、ステージ優勝、年間勝点1位に大きく貢献してみせた。
 
 しかし、リーグ戦のフル出場は2試合のみ。実は「昨年のシーズン中も痛みを感じながら、プレーしていた」という。

 足に違和感はある。その痛みに気付いているが、気付いていないふりをしながら戦っていたのだ。
 
 そしてオフ期間に自主トレを開始した際、ついに右足が悲鳴を上げた。そして骨折していることが明らかになり、1月10日に手術を受けた。全治は3か月と診断された。
 
「その時は、さすがにちょっと頭が真っ白になりました。前線の競争が激しくなるので、遅れるわけにはいかないと思っていましたから……」
 
 15年に清水から浦和に加入し、ようやく2年目の勝負どころで主力の座を掴んだ。とはいえ、新シーズンは、ラファエル・シルバ、オナイウ阿道、矢島慎也ら前線に多士済々なライバルが加入。前線のポジション争いは、さらに激しさを増した。
 
 いよいよそのチーム内の争いが始まるという矢先、「疲労骨折」「全治3か月」と診断され、精神的にも大きなダメージを受けた。
 
「ドクターとも話すなか、シーズン開幕の時期にそうなるよりも、早めに分かったことを、むしろポジティブに受け止めました。もちろん、骨折せずに済めば、それがベストですが(苦笑)」
 
 間もなくパスゲームなどに加わり、4月中旬には全体練習に合流。そこからポジション争いに加わる(「あとはパフォーマンス次第」と本人も言う)--という青写真を描く。
 
「昨シーズンも前半戦は(ほとんど)試合に出ていなかった。また、自分にチャンスが必ず来ると思って取り組んでいきます。チーム状況も今は良くても、このあと、またいろいろ変わってきますから。それに、僕はそんなにゴールを決めていない。今年は、ゴールが求められている部分。その結果にはこだわりたいです。ただ……」
 
 高木は自分自身に言い聞かせるように続けた。
 
 高木は自分自身に言い聞かせるように、次のように続けた。
 
「あまり気負いすぎると良くない。まず、ハードワークを継続していくこと。そうすることで、昨年もチャンスが巡ってきました。怪我をしても、しなくても、そこは変わらずに、心掛けていきたいです」
 
 とりわけ体幹が強く、身体的なバランス感覚が抜群に優れている。強靭さとスピードを兼ね備えたドリブルで、ゴール前に人が集まる密集地帯をも攻略できる。どのような態勢からも放てる長短のキック精度も高い。無回転FKも武器のひとつ。そしてハードワークで貢献する守備力も上げてきた。
 
 そしてワールドカップ・アジア最終予選の日本代表予備登録メンバーのリストに、高木の名前が入っていることも明らかになった。ハリルホジッチ監督も、その打開力に着目しているのだ。
 
 巧いだけでなく、強さも増した。今回の骨折をむしろ再起への原動力にして、“タフな高木俊幸”が間もなく戻ってくる。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)