6月30日付の朝日新聞に掲載された、「NHK受信料で規制改革会議 制度見直し検討へ」というニュースをご存じだろうか? 

 政府の規制改革・民間開放推進会議が7月末にまとめる中間報告で、「公共放送のあり方(受信料制度の見直し)」を盛り込む方向で検討に入ったというのだ。要するにNHKの地上波放送で、受信料を支払った世帯にだけ番組を視聴させる「スクランブル化」の実現に向けた議論を深めていく方針なのだ。

 規制改革・民間開放推進会議というのは、総合規制改革会議(平成13年4月〜平成16年3月)終了後も、規制改革をより一層推進するために設けられたもの。民間の有識者13名から構成されていて、内閣府に設置されている。

 今回の中間報告は、あくまで政府の規制改革・民間開放推進会議が発表するもの。当事者であるNHKはまったく関与していない。したがって、スクランブル化には一貫して否定的な立場を取っているNHKから、反発の声があがるのは必至なのだ(今回の報道に関するコメントは残念ながらもらえなかった)。

 そのような中間報告を出す背景には、相次ぐNHKの不祥事をきっかけに増加した受信料の不払い問題がある。放送法32条では、「テレビ受信機の設置と同時に受信契約義務が生じる」とされていて、公共放送に必要な経費は公平に負担するようになっている。しかし、実際には支払っていなくても、放送自体は見ることができる。放送は見られるが受信料を支払っていない、そんな世帯が、97万件(5月末現在)にも上っているのだ。規制改革・民間開放推進会議でも、この点を問題視しているという。

 また民放に対しても、地上波放送局の再免許手続きの見直しなど、新規参入を通じた競争促進で放送内容の質の向上を図る観点を同報告には明記しているとか。放送業界への新規参入を図る必要性を指摘している。

 NHKをまったく見ていなくても、受信料を支払わなければいけない、現在の制度に不満を持っている人もいるだろう。果たして、どのような方向性が示されるのか、今度の動向に注目だ。(文/verb)