3月29日に女子ショートプログラム(SP)が行なわれた世界フィギュアスケート選手権。昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルで2年連続2位に入った宮原知子が欠場し、日本女子勢は平昌五輪の出場枠「3」の獲得が危惧されていたが、まさにその懸念通りの厳しいスタートとなった。


SP終了時点で、日本人トップは9位の樋口新葉 3シーズンぶりに復帰したカロリーナ・コストナー(イタリア)が第2グループに登場し、ジャンプやスピンでミスをしながらも重厚感のある演技で66.33点を獲得。これを皮切りに上位争いが始まった。

 日本選手の1番手として登場した、第5グループ3番滑走の樋口新葉は、2月の四大陸選手権で総合9位に終わった悔しさを晴らす演技を見せた。

「四大陸は本当に悔しかったので、そこから本当にやり直した感じです。見直すところがたくさんあったけど、その全部をうまく練習できたかなと思います」

 樋口は今季、表現を重視したことで滑りのスピードが落ち、ジャンプに苦しんでいた。前日の公式練習でも、曲かけでは後半に入れた3回転ルッツや3回転フリップがパンク。しかし、SP本番では今シーズン一番とも言えるのびやかな滑りを見せ、最後の3回転フリップで少し着氷を乱してGOE(出来栄え点)で0.60点減点にはなったものの、ほぼノーミスで演技を終えた。

「ヘルシンキに入ってからの練習は多少不安定でしたが、それまでの練習は毎日集中してできていましたし、ショートもミスのない演技ができていたので、四大陸より不安はなかったです。滑り出した時も思ったより緊張しなかったのは、日本で納得がいく練習ができていたからですかね」

 公式練習で、樋口が3回転ルッツ+3回転ループやトリプルアクセルに挑んでいたのも、「せっかくきれいな氷で練習ができているのだから、トリプルアクセルの練習もしてみようと思った」という気持ちの余裕があったからだ。それがSPの好演技につながり、順位は9位ながら、上位の背中が見える納得の65・87点を出すことができた。

 一方で、日本勢の2番手で登場した三原舞依にとっては苦しい戦いになった。四大陸選手権では200.85点を出して初出場・初優勝を果たしたが、宮原の世界選手権欠場が決まったことで、一躍日本の「エース」と見られる立場に。自分では考えないようにはしていても、「この大会の、チームとしての大きな目標は来年の平昌五輪の枠取りだと思うので、それを意識してしまったところもあると思う」と、普段とは違うプレッシャーを背負ってしまっていた。


悔しさの残るSPを終え、顔を覆う三原舞依「最初から、今シーズンになかった緊張を感じていました」という三原は、滑り出しも動きが硬かった。それでも、「ジャンプはほとんど失敗しないという自信があるので、最初は緊張していても跳べるという自信があった」と振り返ったように、冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを決め、波に乗ったように見えた。

 その後のふたつのスピンもレベル4にし、後半に入ってからのダブルアクセルもきれいに決め、ノーミスの演技で終える期待が膨らんだ。だが、「自信がある」という理由で演技の最後に入れていた3回転フリップが、「跳び急いでしまったのかもしれない」と2回転に。さらに転倒してしまったことでフリップが0点になったうえ、減点1をつけてしまう結果になり、得点は59.59点で15位に沈んだ。充実していた今シーズンで初めて、悔しさだけが残る滑りになってしまった。

 三原とは対照的に、そこからは各国のエースたちによるノーミス演技が続く。第6グループ1番滑走のケイトリン・オズモンド(カナダ)がメリハリのある滑りで75.98点を出すと、今季の全米選手権覇者のカレン・チェンは、四大陸選手権12位という結果がウソだったような見事な演技で69.98点を獲得。そして、最終グループでは世界選手権連覇を狙うエフゲニア・メドベデワ(ロシア)が、まったくスキを見せない演技で79.01点を獲得してトップに立った。

 その後も、ガブリエル・デールマン(カナダ)が72・13点を獲得し、アシュリー・ワグナー(アメリカ)は自信に満ちた演技で69・04点、マリア・ソツコワ(ロシア)も丁寧な滑りで69・76点を出すなど、ハイレベルの戦いを繰り広げる。

 その最終グループの5番手として滑走した本郷理華は、四大陸選手権に続いて宮原の欠場による繰り上がり出場。「元々この試合に出られる予定ではなかったので、出られるだけでもいい経験になるし嬉しいこと。この機会をしっかり活かそう思いました」と、62.55点を獲得して納得の表情を見せたものの、順位は12位にとどまった。
 
 最終滑走者のアンナ・ポゴリラヤ(ロシア)もほぼノーミスの演技で71.52点を獲得し、SPの順位は樋口が9位で本郷は12位、三原は15位と厳しい結果になった。

 平昌五輪の3つの出場枠を獲得するためには、上位2名の順位数が合わせて「13」以内でなければならない。3枠どころか、2枠条件の「14〜28」さえも気になる極めて難しい状況ではあるが、9位と踏ん張った樋口、そして三原と本郷がフリーで粘りの滑りを見せられれば、巻き返しの可能性は十分にある。五輪の出場枠だけでなく、彼女たちの未来を照らすような演技に期待したい。

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