<イギリスがついにEUに離脱を通知した。原則2年間の交渉期限の間、一寸先は闇。イギリスがEUの一部だからこそイギリスに住めている人はどうなるのか、関税同盟離脱後のイギリスからの輸出はどうなるのか、疑問点をまとめた>

昨年6月の国民投票でイギリスがEU離脱を決めてから約9カ月。ついに水曜、テリーザ・メイ英首相は欧州理事会のドナルド・トゥスク議長(EUの大統領)に書簡を送り、正式な離脱通知に踏み切った。

原則2年を上限と定めた離脱交渉は、イギリスとEUの間だけでなくイギリス国内やEU域内でも内輪もめは必須だ。

以下に、5つの争点をまとめた。

■イギリスの「手切れ金」

本物の離婚さながら、離脱交渉でもいちばんもめそうなのがお金をめぐる問題だ。これまでイギリスは、自国に割り当てられる額以上の拠出金をEUに支払ってきた。2016年の数字を見ると、英政府はEUに131億ポンド(163億ドル)を拠出したのに、EUから受け取ったのはわずか45億ポンド(56億ドル)程度だった。

そうした不公平感は、他のEU加盟27カ国の間でも広がりつつある。イギリス同様に負担が過剰になるスウェーデンも最近、EUの予算を全体的に縮小するよう求めた。オーストリアは難民受け入れを分担しない加盟国に対して、懲罰的にEU予算の配分を減額すべきだと主張した。

慰謝料への異なる思惑

加盟国の反発を抑えるため、EU側はイギリスからカネを絞れるだけ搾り取ろうとする可能性がある。イギリスが未払いの600億ユーロ(647億ドル)の分担金を「手切れ金」として支払う是非をめぐっては、すでに議論が起きていて、交渉でも最優先の争点の一つになりそうだ。さらにイギリスではEUの個別の事業費の負担を継続すべきかどうかについても、疑問の声が上がっている。

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一定の拠出金を出すのと引き換えに、メイがEUから自国に有利な条件を引き出す可能性はある。一方でイギリスの世論や離脱派のタブロイド紙は、イギリスがEUから桁違いの請求額を突き付けられるそうだと反発しそうだ。

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■移民の権利保障

移民の処遇も、離脱交渉で最優先事項になりそうだ。イギリスに住むEU加盟国の国民とEU域内に住むイギリス人の権利の保障は、当初から議論の焦点になってきた。EUが掲げる「移動の自由」は、域内であれば住む場所や働く場所を自由に選択できると定めたルールだ。この制度を利用してきた移民らは、自分たちが今いる場所を追われることになるのを恐れている。

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英政府はEU加盟国の出身者がイギリスにとどまる権利を保障したいと繰り返し述べてきた。一方で、それはあくまでEU側が域内に住むイギリス人の権利も同様に保障するのが前提とも牽制していた。EUや加盟国はいまも静観しているが、それがいかに差し迫った問題か十分すぎるほど分かっている。特にポーランドなど、多くの国民がイギリスに出稼ぎに来ている東欧諸国にとっては切実だ。

ジョシュ・ロウ