北京の北朝鮮大使館に掲げられた国旗。(FRED DUFOUR/AFP/Getty Images)

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 2016年2月、サイバー犯罪者がニューヨーク連邦準備銀行(FRB)のバングラデシュ中央銀行口座から不正送金を行い、被害総額は8100万ドル(90億円)に上った。この事件に関し、北朝鮮が首謀ではないかと米国政府関係者は考えている。一方で、中国問題に詳しいゴードン・G. チャン氏は、中国が北朝鮮の共謀者であることを指摘した。

 「ウォールストリートジャーナル(WSJ)」の報道では、米国捜査当局が北朝鮮を首謀者と考える理由として、今回使われたコードが2014年にソニーが攻撃を受けたときのものと類似していることを挙げている。ソニーは2014年にサイバー攻撃を受けたが、中国国内の北朝鮮ハッカーの仕業だったという。

 「ニューヨークタイムズ」の報道では、去年ポーランド銀行がハッキングされた事件はソニーが攻撃された事件と何らかの関係があるという。ソニー事件では、FBIは北朝鮮関係者が犯人だと断定している。ポーランド銀行をハッキングした犯人は、犯行グループは世界銀行やEU中央銀行を含む100以上の組織を狙っていたことをほのめかしている。

 北朝鮮が実行犯であれば、単独犯ではないことはほぼ確実だ。WSJによると、米国検察官は現在一部の中国人仲介人を調査中で、彼らが北朝鮮の犯行を手伝ったのではないかと疑っている。

アメリカがとるべき行動

 もしこのような仲介者がいた場合、中国共産党の支持を受けた金融機関は共謀者とも考えられる。共謀者であれば、中国共産党が犯罪に加担したこととなる。中国の大企業、特に金融機関は国家の監督下に置かれているため、北朝鮮とやり取りがあれば当局が知らないことはない。

米国FRBイエレン議長(Mark Wilson/Getty Images)
 

 アメリカの作家ゴードン・G・チャン(章家敦)氏は「フォーブス」への寄稿文章で、アメリカは反撃として共謀を働いた中国金融機関の口座を凍結することができると主張した。

 WSJは、バングラデシュ中央銀行の事件を担当する米国検察官は、中国商人である馬暁紅氏を操作した時と同様な手法を取るとみ推測している。

 馬暁紅氏は昨年9月、北朝鮮の核開発をほう助したとして、米国財務省は馬氏自身とその所有する企業に対しい制裁を加えた。米国司法省は「大規模殺傷兵器不拡散条約違反」などの容疑で馬暁紅氏と同氏が代表を務める「丹東鴻祥実業」を起訴した。起訴状には、馬暁紅氏が米国の金融システムを利用し北朝鮮政権のためにマネーロンダリングをしたことも記載されていた。

 米国司法省は「丹東鴻祥実業」の中国系銀行における25の口座を凍結したが、銀行自体は起訴しなかった。これらの銀行には、招商銀行、上海浦東発展銀行、中国農業銀行、交通銀行、中国建設銀行、広東発展銀行及び中国工商銀行が含まれている。

 ゴードン氏は、バングラデシュ中央銀行の事件では馬暁紅氏事件と同様であってはならないとし、検察官が芋づる式に背後の画策者や共謀者を引きずり出すべきだと考える。この案件の証拠は全て平壌当局を指すものであり、その背後には北京当局が潜んでいるとする。

 ゴードン氏によれば、米国政府は中国共産党政権との関係構築を重視するあまり、ここ数十年間中共が行ってきたマネーロンダリングに片目をつぶってきた。ゴードン氏は、トランプ政権は今後しかるべき措置を取るべきで、少なくとも中国共産党の資金操作を手掛けてきた中国系銀行の口座を凍結するべきだと考える。

 米国土安全局のリチャード・レジェット氏は、バングラデシュ銀行が盗難に遭ったことを「国家主体の銀行強盗だ」と形容した。リチャード氏が指すのは北朝鮮だが、そのバックボーンとして中国共産党政権がいることを忘れてはならない。

(翻訳・文亮)