【ライターコラムfrom鳥栖】 今季も見せつける圧倒的な走力 高橋義希はなぜ、あんなに走ることができるか?

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 昨季、個人走行距離で唯一400キロを超えた高橋義希。今季に入っても、4節中3節で走行距離トップに立っている。身長170センチ、体重67キロとJリーガーの中では決して大きいとは言えない体格で、なぜこんなに走ることができるのか? 率直な質問をぶつけるとこんな答えたが返ってきた。

「やっぱり、奥さんの手料理と子どもたちの笑顔」

 そう言ってくったくのない笑顔を見せた。普段はあまり家族のことを話さないが、「家に帰って子どもたちが駆け寄ってきたら、それだけで(疲れが癒える)」と続けた。

 もちろん、かけがえのない家族の存在だけが走行距離を伸ばす理由ではない。

「負けず嫌いで小さい頃から持久走とかも負けたくなくて、一番になりたくて走っていました。トレーニングにしても一番じゃなきゃイヤでしたね。普段の練習でも走れない選手は内側を走るんですけど、走れる選手は外側を走るんですよ。走りたくない選手が内側を意識して走っているかどうかはわかりませんけど、そういう小さな意識のところの積み重ねだと思います。走るコツ? 気持ちです。だって負けたくないと思ったら走りますよ」

 鳥栖の戦術も彼の走行距離を伸ばす一因。マッシモ・フィッカデンティ監督になった昨季から彼は4−3−1−2の中でアンカーを務めている。その役割は、常にボールの近くにいること。中盤での守備や最終ラインからのビルドアップ、さらには第2節の川崎フロンターレ戦でゴールを奪ったようにゴール前まで、とにかくボールの近くに高橋義希あり。

「僕の持ち味はいなきゃいけないところにいて、(その後、スタートポジションに)戻れるところ。走行距離が出ているのはそういうところだと思います。僕の走行距離の6割が守備で走っているそうです。走ることでチームの役立っているのなら嬉しいですね」

 試合終盤に疲れが溜まると、ピンチでも大丈夫だろうと判断して守備に戻らない選手もいる。それで失点してしまうと、悔やんでも悔やみきれない。失点する確率を下げるため、それがチームのためになるから彼は疲れていても、気持ちで乗り越えて守備に戻る。

「アンカー2年目なので、今年はさらに求められていることをやらなきゃいけない。そうならないとタイトルを獲れない」

 愛するクラブを悲願のタイトルへ導くために、家族の支えとチームへの献身性を糧にして高橋は走り続ける。

文=荒木英喜