お酒の「赤面女子」は骨折に気をつけて

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お酒を飲むとポッと赤くなる女性は多いが、「おしとやかで、色っぽい〜」などと女性の魅力の1つに思ってはいないだろうか。実は、酒に弱い女性は年を取ると骨粗しょう症になり大腿部骨折を起こしやすくなることが、慶応大学医学部の宮本健史・特任准教授らの研究で明らかになった。

アルコールを分解する働きが悪いために、体内に有害物質がたまり骨の成長を妨げるためだ。研究成果は科学誌「Scientific Reports」(電子版)の2017年3月27日号に発表された。

日本人の35〜40%が危険な「飲むと顔が赤くなる」

大腿部骨折は、骨粗しょう症の中でも最も深刻な症状で、年間19〜20万人に起きている。寝たきりや要介護の大きな原因になるばかりか、骨折後1年以内で死亡する人も多い。

J-CASTヘルスケアの取材に応じた宮本特任准教授によると、酒が弱く飲むとすぐ赤くなる体質を「フラッシュ症候群」(flash syndrome)というそうだ。欧米人に比べ、アジア人に多く、日本人男女の約35〜40%がこの体質を持っている。この体質の人は生まれつき、アルコールが体内で代謝されると生まれる有害物質アセトアルデヒドをうまく分解できない。「rs671」という遺伝子を持つため、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが悪くなるのだ。

宮本特任准教授は「rs671」に着目した。中高年の女性で大腿骨骨折した92人(44〜101歳)と、骨折しておらず骨粗しょう症でもない正常な女性48人(53〜87歳)の遺伝子を比較した。同時に全員にアンケート調査を行ない、「酒を飲むと赤くなるか」を聞いた。すると、「酒を飲むと赤くなる」と答えた人のほとんどが「rs671」遺伝子を持っていた。そして、骨折した人の「rs671」保有率を調べると、「rs671」を持っている人は、持っていない人に比べ、2.48倍も骨粗しょう症による大腿骨骨折を起こしやすいことがわかった。つまり、酒を飲んで顔が赤くなる人は、ならない人に比べ、約2.5倍骨折しやすいのだ。

なぜ酒に弱い人は骨が折れやすいのか。宮本特任准教授はこう説明した。

「有害物質アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが悪いため、アセトアルデヒドが体内にたまります。すると、骨をつくる骨芽(こつが)細胞の働きを阻害し、骨がスカスカになる骨粗しょう症になりやすくなると考えられます」

しかし、ビタミンEを摂取すると、骨粗しょう症を予防することができるという。マウスの細胞の試験管実験で、骨芽細胞にアセトアルデヒドを加えると働きが悪くなったが、ビタミンEを投与すると機能が回復した。ビタミンEはアンコウ、スジコ、ウナギ、イクラ、タラコ、エビなどの魚介類や、煎茶、抹茶、シソ、アーモンドなどの植物に多く含まれている。こうした食品をどう食べれば、骨粗しょう症の予防につながるのだろうか。

ビタミンEは骨折予防に効くが、摂りすぎに注意

宮本特任准教授はこう注意を呼びかける。

「ビタミンEをとることが大切ですが、ビタミンEは脂溶性のビタミンで、摂りすぎに気をつけてください。水溶性ビタミンは、過剰に摂取しても余分なものは尿として排出されるので、副作用の心配はあまりありません。しかし、脂溶性ビタミンは水に溶けずに脂肪組織や肝臓に貯蔵されるため、過剰に摂取すると副作用の心配があります。適度にとることが大事です」

また、今回は女性が対象の研究だったが、酒を飲んで顔が赤くなる人は男性にも多い。骨折の心配は男性に当てはまるそうだ。それだけではない。宮本特任准教授は、顔が赤くなる人は、たとえ酒を飲まなくても骨粗しょう症に気をつけてほしいと、次のように強調する。

「実は、今回研究に協力してくれた女性は、ほとんどがお酒を飲めない人たちです。しかし、体内にはアセトアルデヒドが残っていました。理由はわかりませんが、アルコールを摂取しなくても発酵食品からアセトアルデヒドが発生しているようです。お酒を飲むと赤くなる人は、お酒を飲まなくてもリスクを抱えています。顔が赤くなる持って生まれた体質は変えようがありませんが、ビタミンEをとることで遺伝子の影響が減り、骨折予防につなげることができます」