さくま・かずゆき=1977年9月3日生まれ、茨城県出身。“さっくん”の愛称で親しまれているピン芸人。「R-1ぐらんぷり2011」優勝者

写真拡大

昨年8月に開催された芸歴20周年記念のオール新ネタライブ「佐久間一行SHOW 2016『NOW』」を中心に、2016年に行ったコントライブから厳選したネタを収録したDVD「佐久間一行SHOW2016 〜NOW〜」が3月22日に発売。そして、Twitterで連載していた漫画「ふでばこ君」の書籍版を4月5日(水)に刊行。リリースラッシュで注目を集める佐久間一行に、各作品の見どころと、21年目に突入した今の心境を聞いた。

DVD「佐久間一行SHOW2016 〜NOW〜」のジャケット。特典discには20年分のネタからさっくん自ら選んだ「コントセレクション」を収録!

■ 「常に一番楽しいのは今じゃなきゃいけないなって」

――まずはDVDの見どころを。

「20周年の“これまで”と“今”が詰まった2枚組です。内容は、去年やった『NOW』っていうライブが中心なんですけど、最初は今までのネタのベストセレクション集にしようかとも思ってたんですよね」

――それだけ、『NOW』というライブに手応えがあったということ?

「そうかもしれないですね。『NOW』っていうタイトルは、20周年の今だからできる最新のことをやろう、という意味なんです。これまでずっと吉本の劇場のルミネtheよしもとで単独ライブをやってたんですけど、20周年だし、一回どーんとやってみようという感じで、初めて外に出て、恵比寿ザ・ガーデンホールという劇場でやりました」

――キャパ800名の大会場で2公演。いつも大きい劇場ということで、ネタや演出に違いはありましたか?

「今回、ステージに階段を作ったんですよ。いつもより天井も高いし、幅も違うので、何ができるんだろうと思ったときに、階段を使った『一番楽しいところ』っていうコントを思いついて。“階段”は、このライブのテーマでもあるんです。20周年で20段上がっていくっていう。あと、『何をやっているのかわからないが演出ですごいと思うしかないSHOW』っていうコントもぜひ見ていただきたいです。意味は分かんないけど、とにかく照明とか音とか演出がすごいっていうだけのネタなんですけど(笑)、これも広くて照明設備がすごい、この劇場だからこそ生まれたネタだと思うんで」

――「一番楽しいところ」は、“クライマックスのちょっと前が一番楽しいところ”という歌ネタですが、芸人・佐久間一行の人生は、今はどのあたりですか?

「一番楽しいところは、常に今じゃなきゃいけないなって、そうでありたいなという感じですね。このコントを見た知り合いが『最初はただ面白いんだけど、後半、いろんな意味合いを感じさせるな』って言ってたんです。“ここにずっといたいんだけど、そういうわけにもいかないから次に行かないと”っていう歌なんですけど、このライブをやるにあたって僕がいろいろ考えたことが歌詞に表れたって感じかもしれないですね」

■ 「次は世界に! 外国で単独ライブをやろうかなと」

――20周年を経て、ことし21年目に突入しましたが、次の新たな階段は見えてきました?

「それはもう、次は世界に! これまで一度も海外に行ったことがないので、5月くらいにどこか外国に行って、その国の名前をタイトルにした単独ライブをやろうと思ってるんです。この20年でやれることは全部やったっていう感じもあるんですよね。日本国内は営業も含めて47都道府県全部行ってるんで、海外行ったことないんだったら、とにかく自分から行っちゃおうと。よく海外に行くと価値観も変わるって聞くんで、それも面白いかなって。だからことしのテーマは『海外』。ライブでは相変わらず、自分の好きなネタだけをやるつもりですけど、海外に行って価値観が変わった状態でネタを書くから、また一歩違った意味合いの単独ライブになるかなと思ってるんです」

――どの国へ行かれるんですか?

「何となく浮かんでるんですけど、まだ決まってないですね〜」

――「何となく浮かんでる」のはどんなイメージですか?

「崖です。大きい崖。ミスチル(Mr.Children)がプロモーションビデオで行くような断崖絶壁。『何、この景色?』っていう。そういうのが好きなんですよ。不思議なんですけど、20周年のライブが終わって『来年は世界規模でやりたいな』と思ってたら、マネージャーが替わって。そしたら、そのマネージャーが昔バックパッカーでいろんな国に行ってたらしいんですよ。これは『佐久間も海外に行け』って言われてるようなものだなと。それで僕が『どこ行くか迷ってる』って言ったら、そのマネージャーが『僕に任せてください!』って言って、自分が海外旅行に行ったときに撮った動画を編集して、ゾウに乗ってる動画とか、プロモーションビデオみたいな感じでいっぱい送ってくるんですよ。ジャンバラヤとかBGMまでつけて(笑)。で、それはありがたいんですけどね、その動画の中のマネージャーが、頭を両サイド刈り上げて、なんかすごいイケイケモードで、川に飛び込んじゃったりしてるんですよ。今はマネージャーらしく、身なりはしっかりしてるんですけど。『どの動画がよかったですか?』とか聞いてくるんだけど、そんなことよりも、こんな人が俺のマネージャーになるんだっていうことにビックリしちゃって、全然頭に入ってこないよ〜って(笑)」

――佐久間さんも、海外から帰ってきたらイケイケになってたらどうしましょう?(笑)

「いやいやいや、絶対、サイド刈り上げない(笑)。ここ(サイドの髪)なくなるの、なんかイヤじゃないですか。スースーするし。ネタもイケイケモードになってたりして? 怖い怖い!(笑)」

■ 「“ザ・芸人”みたいなドロっとした感じが好きじゃないんです」

――これまでの20年を振り返ってみて、佐久間さんにとっての転機は?

「一番大きいのは、やっぱり『R-1ぐらんぷり』(※2011年大会で優勝)ですね。自分がやってることに『これでいいのかな』と思ってしまう時期もあったんですけど、『R-1』で優勝したことで、『これでいいんだ』と思えるようになりました」

――「R-1」優勝以降で、ネタの作風は変わりましたか?

「去年の『一番楽しいところ』とか『何をやっているのかわからないが演出ですごいと思うしかないSHOW』みたいな感じのネタは、昔だったら『これ、やんない方がいいかな』って思ったりしてたんですけど、今は『これ、やっちゃおうか』ってグンと押せるようにはなりましたね、自分の中で」

――では、この20年での自分自身の変化は?

「無我夢中でやってて、自分では変わったとか分かんないんですよね。20周年っていうのも、自分ではあんまり実感なくて。周りも20年もやってるって誰も思わないかもしれないですね。『R-1』で優勝したのが15年目だったんですけど、そのころ、(間)寛平さんがルミネで僕のネタを見て『晴れてるなぁ』って言ってくれたんですよ。ネタを見た感想が、『面白い』とかじゃなくて『晴れてる』って。それがすごくうれしくて。(桂)文枝師匠も、『15年やってると、もっとくすんでるはずなのに、それが全くない。垢がない』って言ってくれたんですよ。ありがたかったですね」

――「垢がない」のは、なぜだと思います?

「分からないです。でも、“ザ・芸人”みたいなドロっとした感じが好きじゃないから、自然とそういう方向には行かないっていうのはあるかもしれない。でも、1年目、2年目のころは、『芸人だからこうしなきゃいけないのかな』とか思って、いろんなことやりましたけど。コンパにも行かなきゃいけないのかなと思って行ったんですけど、カラオケで『イェーイ!』ってノリをやんなきゃいけなかったりして、客観視するとすっごい恥ずかしくなってきて。『イェーイ』って言ってる自分がイヤになってきて、こういうのは合わないなと思ったんですよね。そういうこともあったな〜」

■ 「ピースの又吉が『面白い』って言ってくれたのがきっかけなんです」

――Twitterで連載されていた漫画「ふでばこ君」が書籍化されますが、こちらを描き始めたいきさつは?

「Twitterで何か面白いことできないかなと思ったとき、ちょうど目の前に筆箱があったんですよ。それをなんとなく描いてキャラクターにして、4コマ漫画くらいの感じでアップしていったら面白いかなって思って。で、4コマ目を更新したあたりから、皆さんが反応してくれたから、ノッてきちゃってストーリーを考え始めて。10コマ目くらいになると、芸人さんたちも見て盛り上がってくれて、そこでまたスイッチが入って、結果441話まで行きました。まさかそんな壮大になるとは! Twitterは反応がすぐ返ってくるじゃないですか。『次が楽しみ』って言われると、うれしくなっちゃうんですよね」

――物語のテーマは?

「ずっとノートでネタを書いてたんですけど、最近はパソコンで書くようになって。後輩とかに『佐久間さんは手書きでいてほしい』とか『パソコン使ってるところは見たくない』とか、いろいろ言われてた時期で、そういう狭間に自分がいたんですね。それで“文房具”と“パソコン”、その狭間の物語を描こうと思ったんです」

――佐久間さんは、今後、手書きとパソコン、どっちでいこうと?

「まさにこの本の中で言ってることなんですけど、手書きのいいところと、パソコンのいいところ、どっちも共存してるのが一番いいのかなと思いますね」

――ともあれ、Twitterから一冊の本が生まれるって素敵なことですよね。

「めちゃめちゃうれしいですね〜。DVDもそうですけど、形になるのが好きなので。今回、本にしようと思ったのは、ピースの又吉(直樹)が僕のTwitterを見て、『これは面白い。本にしたらいい』って言ってくれたのがきっかけなんですよ」

――では最後に、本の見どころを。

「ほぼほぼ全部描き直して、分かりづらいシーンは補足もしてあるので、Twitterで一度見たことがある方も、きっとまた楽しんでもらえると思います。800ページで重さ1kgで、辞書みたいな感じなんですけど、オブジェとしてもなかなかいい感じだと思うんで、ぜひぜひ、一冊お家に! つたわれ〜♪」