地ビールにリサイクル水を使用、これはアリ!?(出典:http://www.sandiegoreader.com)

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ビールでもワインでも、おいしい水の入手こそが肝心である。このほど米サンディエゴのある地ビールメーカーが、驚くような一品を発表して人々を驚かせた。この黄褐色がなんとも微妙…!? なぜなら下水を生まれ変わらせたペールエールだという。しかしその背景にあったのは干ばつとの闘い、そして安心・安全な水の安定供給という同市の長年の悲願であったようだ。

問題のブリュワリーは、サンディエゴ市の北に位置するカリフォルニア州エスコンディードの“ストーン・ブリューイング(Stone Brewing)”社。工場見学や素敵なレストランも人気でファンも多いもよう。もちろんビールの味にも定評があった。そんななかで3月16日、ストーン社の最高経営責任者パット・ティアナン氏はイベントを設け、サンディエゴのケビン・フォールコナー市長が見守るなかで新しい一品を紹介した。それはニュージーランド産ホップとダークモルトを使用したペールエールの“Full Circle”。何が珍しいかというと…!?

ひどい干ばつに悩まされることが続いたサンディエゴ市では、水源の90%をはるか離れた地からの供給に依存しており、安全のためにも化学薬品による処理が欠かせず、その水はとても飲めたものではなかった。しかし2011年以降、同市は『ピュアウォーター・サンディエゴ・プログラム』計画を掲げ、ミラマーに排水、つまり下水をリサイクルしてきれいな水を得ることを可能にする大規模浄水施設「North City」を試験的に誕生させていた。現在その施設の隣にも1日あたり3000万ガロンもの水をリサイクル処理できる施設を建設中だといい、最終的には2035年までに上水道供給量の3分の1は地域から出た排水のリサイクル水に頼りたいそうだ。

汚水処理から浄水まで、排水リサイクルの技術はどんどん改良が進み、今の「North City」はむしろ水道水よりきれいな水を作り出しているとのこと。水の中に溶け込んでいる銅・亜鉛・水銀・カドミウムといった総溶解不純物濃度(Total Dissolved Solid 略称TDS)は一般家庭の水道水が300〜600ppmのところ、100ppm未満まで下げることに成功。市民にアピールできると確信したという。

そんななか、ストーン社で水質の検査にあたっているティム・スイダム氏は「North City」の最新浄水技術とTDSの数値を信頼し、参画企業を探していた同市のためにひと肌脱ぐことを決定。こうしてリサイクル水をビールに生まれ変わらせる試みが始まったそうだ。イベントでは「質の高い美味しい水であるため、ミネラル分をちょっと足すだけで十分でした」と説明している。

水は生きるための決して欠かせないもの。蛇口から安全で無味無臭の美味しい水が出てくる土地に出かけると羨ましさを感じないわけにはいかない。近年は怪しい水が次々と登場し、浄水器内に繁殖する菌の話題も怖いせいか、サビさえ気を付ければ結局は水道水が安心という声も盛り返しを見せている。行政はとにかく、安い水道料金での安定供給を実現させていただきたいものである。

出典:http://www.sandiegoreader.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)