連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第26週「エバーグリーン」第148回 3月29日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


148話はこんな話


お祖父ちゃんからもらったカメラを分解してしまった藍(渡邉このみ)は、塾に行ったきり行方不明になってしまい大騒動に。

すみれの夢枕に、五十八とはなが


「誘拐!?」
「警察!」
レリビィにいる全員が声を揃えて言う・・・ベタな演劇か! それとも、昔のホームドラマはこんな感じだったっけか? うーん・・・。

順調に走ってきたように見えた「べっぴんさん」が、最終週に来ていきなりペースを崩してしまったように見える。視聴率が20%を切る日が増えてしまった。考えられるわけは、このレビューでもうっすら書いてきたが、ネタ切れという息切れ。
最終回に向けてなにかしら事件を起こし(紋切り型だと主人公が病気とか交通事故とか)、ハッとさせたあと、ホッとさせてまとめることがよくあるパターンで、「べっぴんさん」も一応、過去からの贈り物、栄輔の病気、藍のトラブルなど散りばめているのだが、ひとつひとつが小粒で、終わりに向けてうねっていかない。

148話も一応、トピックスは用意されていた。朝ドラ十八番、幽霊との邂逅である。
カメラを分解したことを咎められた藍が塾にも行かず家にも帰ってこなくて、「誘拐!?」「警察!?」と騒動になり、すみれ(芳根京子)が不安に苛まれているところへ、亡くなったお父さん五十八(生瀬勝久)とお母さん・はな(菅野美穂)があらわれ、藍とすみれの子供の頃が似ているから、辛抱強く、藍の心の声を聞いてあげてと助言してくれる。
本来、幽霊との邂逅はてっぱんだ。生瀬勝久と菅野美穂が久々にそろって出演! と視聴者が喜びそうなところだが、主人公(すみれ)に大きな問題が背負わされてないので、感動がない。前宣伝でも煽ってなかったのはネタバレを忌み嫌う視聴者への配慮だろうか。そこまでしても盛り上がらず残念。

そそそも、子育て助言は、さくら(井頭愛海)と健太郎(古川雄輝)に言ってあげるべきことであろう。
もちろん、この場面はすみれの夢で、すみれが主体になるのは仕方ないのだが・・・。

出産して育児しながらの執筆活動により、脚本家は、育児のことで頭がいっぱいで、59歳のおばあちゃんにまで子育ての責務を背負わせてしまっているように見えなくもない。もちろん、赤ちゃん用品一筋35年だから、赤ちゃんことばかり考えているのかもしれないけれど、ドラマとして、ものづくりと育児、どっちが主軸か判然としない。


藍はすみれだけでなく健太郎にも似ていると思う


藍がいなくなってみんなが慌てているなか、一人冷静な健太郎。
「お母さん、藍はもう3日間も塾に行ってないんです。それはもう自分の意志ですよ、行きたくないという」
とクールに言い切る。明美(谷村美月)も真っ青なぶっきらぼうな言葉だ。
「藍には手を焼いてるのよ」「感情を外に出さない」「しゃべらへんのよ」と心配するさくら。そういうところがすみれにも似ているが、おそらく藍は健太郎にも似ている(古川雄輝が悪いわけではありません)。
というか、このドラマの登場人物、言葉の表現が豊かじゃなく、コミュニケーションが不器用ところがみんな似ている。
だからこその“ものづくり”だと思うので、最後の最後で、ものづくりと子供への想いを刺繍糸の2本取りのようにして、鮮やかに仕上げてくれることを期待している。お願い、半年観て来たことが報われるような、終わり方にして!!! すみれたちばっかり報われてずるい!
(木俣冬)